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不老不死とテロメア

2016-01-03 10:20:40 | 健康・医療
お正月らしいテーマをいろいろ考えたのですが、どうもふさわしいものがなく、不老不死について書いてみることにしました。
私の専門ですとどうしても病気などが多く、めでたい話題になりません。そこで老化に関係があり、この問題を解決できれば若返りが期待できるというテロメアを取り上げます。

テロメアは遺伝子の保護機能を持ったシッポの様なもので、専門的にはかなり難しいところです。簡単にいうと細胞分裂をするときには、遺伝子も複製されなければいけません。ところが遺伝子がコピーされて新しい遺伝子ができるとき、どうしても最後の部分がコピーできず、やや短くなってしまいます。ですから遺伝子としての重要な部分が短くならないように、意味のないシッポがついており、それがテロメアです。

テロメアは一定の核酸の繰り返し構造になっており、単なる保護と思われていましたが、実はこの長さが老化と深い関係があることがわかってきました。昔からヒトの細胞を培養すると、ある程度分裂増殖するのですが、そこで分裂が止まってしまうことが知られていました。これが細胞の老化で、これがテロメアの長さと関わっていたのです。

つまり細胞分裂を繰り返し、だんだんテロメアが短くなっていき、ある程度になると細胞分裂をするなという指令が出てしまうのです。ところが生殖細胞は、テロメアが短くなることがありません。これは生殖細胞は、子孫を残す仕事をするわけですから、テロメアの短い子孫ではまずいわけです。こういった細胞では、テロメラーゼという酵素が働き、短くなったテロメアを伸ばしていることがわかりました。

このテロメラーゼは、がん細胞にも発現していることがわかっています。がん細胞は無限に増殖するわけですが、当然テロメアは短くなります。そこで増殖が止まらないように、テロメラーゼで伸ばしていることもわかってきました。ですからこのテロメラーゼという酵素を阻害すれば、がんの増殖を止められるのではという方向で抗がん剤の開発も行われています。

さて老化に関しては、このテロメラーゼをうまく使えば、老化を防ぐことができるのではないかという研究は当然行われています。その一つの例が、テロメラーゼ含有化粧品として発売されようとしています。こういった酵素というのは、タンパク質ですので、体に入ると簡単に分解されてしまいます。そこで皮膚に塗る化粧品として、皮膚の老化を防ぐという方向で進んでいるようです。まだ臨床試験の段階のようですが、どんな効果が出るのか楽しみです。

テロメアについては難しい部分も多く、そう簡単に老化を防ぐツールにはならないようですが、この分野の研究に期待しています。

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