対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

あぐむ

2018-01-08 | 飛騨
おせち料理が3日も続くとさすがに飽きてくる。このようなときの気分は「あぐむ」と表現するとぴったりするのだが、子供には通じなかった。「飽ぐむ」と表記するのかと思っていたが、辞書には「倦む」しか載っていなかった。飛騨地方の方言であった。近いのは「飽く」(1.十分に満足する、心ゆく。2.程度が過ぎていやになる。)である。「倦む」と表記しては飛騨の「あぐむ」ではない。考えあぐむ、攻めあぐむなど、「倦む」の場合、嫌気がするのは同じだが、事が成し遂げられていない。しかし、「飽ぐむ」の場合、「飽和」に達した後の嫌気である。
「あぐむ」の英訳、be tired of(=having a strong distaste from surfeit)。

YOSHIKI

2017-03-06 | 飛騨
映画「君の名は。」に出てくる「糸守」高校は、「吉城」(よしき)高校だと思ってみていた。飛騨市古川町にある高校である。飛騨市古川町は、以前、吉城郡古川町であった。25年ほど前、教えていた高校生に「吉城高校」の名前をいうと、たいへんウケたことがある。その場ではよくわからなかったが、後で考えると「吉城」高校ではなく「YOSHIKI」高校として伝わっていたのである。高校生にとってYOSHIKIはX JAPANのYOSHIKI(佳樹)だった。YOSHIKIが喚起されたのである。思いがけなかった吉城からYOSHIKIへの変化。

飛騨古川 on ゼロの焦点

2017-02-24 | 飛騨
2009年に「ゼロの焦点」(広末涼子主演)が公開されていたとき、見に行った。金沢が舞台になっていたが、金沢の旅館と旅館近くの風景に見覚えがあった。飛騨古川の「八ツ三」、荒城川、霞橋。古川がロケ地になっているとは思わず(映画の最後にロケ地の紹介があった)、金沢にも同じ名前の旅館があるのかと思ってみていた。今週の火曜日にNHKのBSで「ゼロの焦点」をやっていた。録画をみると、瀬戸川沿いも映っている。旅館の近くも瀬戸川沿いも映画用に装飾されていた。飛騨古川(飛騨市古川町)はとてもいい町に見えるのだった。

長澤まさみと飛騨古川

2016-12-19 | 飛騨
「君の名は。」で市川悦子の声はわかった。しかし、長澤まさみの声はキャストの字幕が出るまでわからなかった。奥寺ミキ(瀧のアルバイト先の先輩)が長澤まさみの声だった。奥寺ミキは瀧といっしょに飛騨古川にくる。
長澤まさみは飛騨古川と縁がある。2002年のNHKドラマ「さくら」に主人公さくらの下宿先の「ろうそく店」の孫娘役で出演していた。高校生役である。飛彈弁で演じていた。

飛騨市図書館タイムスリップ

2016-12-13 | 飛騨
飛騨市図書館は、瀧たちが三葉の住む糸守町について調べた図書館のモデルである。映画では内部も外部も正確に描写されている。
5年ほど前の1年間に何度か利用したことがある。「一所不在」ということばは存在するのかどうか調べていた。辞書を片端からみていった。そのなかに「新明解四字熟語辞典」(三省堂)があった。「一所不住」の「住」を「在」と書き誤らないように注意してあった。疑問は解消した。「一所不在」はない。〈一所不住と縁 ――「農大無謡」考〉参照。
50年ほど遡ると、図書館はもとより市役所もない。同級生のM君の家があり、母の勤めていたY製作所があった。製作所の裏は、原っぱでレールが敷かれていて、トロッコがあった。大きな池もあった。

飛騨古川駅

2016-12-12 | 飛騨
映画「君の名は。」をみてきた。きれいで精密な画。思いがけない展開。初めから最後まで楽しめるファンタジーである。「糸守」町は、映画のなかに出てくる地図を現実の地図と重ねると飛騨市「古川」町である。
飛騨古川駅は、「三葉」(女主人公)を探すために飛騨へやってきた「瀧」(男主人公)たちが降り立つ駅である。よく知っている駅である。映像をみていて、あれっ、と思った。上りの車線に、下りの「ワイドビューひだ」が入ってくるではないか。監督は跨線橋に興味をもち、瀧たちに渡らせたかったのだろう。実際は、下りは改札のあるホームに降りることになっていて、跨線橋を使う必要はないのである。上りの列車(高山、岐阜、名古屋方面)に乗るときに渡るのである。

「わたしの城下町」

2016-12-05 | 飛騨
小柳ルミ子が昭和46年に歌った「わたしの城下町」。この「城下町」は、「瀬戸の花嫁」のイメージもあって、四国や中国地方の「城下町」だと思っていた。しかし、この城下町のモデルは「飛騨高山」であった。金森長近の城下町である。昨日、塩崎隆氏の講演「流行歌とともに歩んで」を聞いてきた。塩崎氏は11年ほど飛騨高山で暮らしていたという。氏が最初にプロデュースしたのが「わたしの城下町」で、作詞家の安井かずみに依頼するとき、高山の思い出を語ったのだという。

角川

2016-09-28 | 飛騨
ほとんどの人は角川書店の「かどかわ」と読むだろう。(JR東海)高山本線に角川という駅がある。これは「かどかわ」ではなく「つのがわ」である。この駅から5分ほどのバス停が映画「君の名は。」の聖地の一つになっている。これをきっかけに「つのがわ」という読み方が広まるといいと思う。

飛騨の蝉

2016-07-22 | 飛騨
「せみ」をワープロで変換すると「蝉」だが、辞書で引くと「蟬」である。「蟬」が正しい漢字である。正しい漢字だが、これが環境依存文字なのである。「蝉」は何なのだろう。
「單」は「単」の旧字体あるいは正字である。旧字体というのは「單と単」、「戰と戦」、「禪と禅」のような、新旧がある場合である。正字というのが「せみ」に当てはまる。「蝉」は当用漢字及び常用漢字に含まれていないから、そもそも新字が存在しない。「蝉」は正字を「当用漢字体及び常用漢字体風に略記した字形」で、JIS規格(JIS1983)が作り上げた略字である。
同じようなものに、「飛騨地方」の「騨」がある。「飛騨の蝉」から「飛驒の蟬」へ。

ぼとび

2016-05-10 | 飛騨
「ぼ」と「び」。飛騨の方言で、男の子と女の子。「ぼ」は「ぼう」、「び」は「びい」の表記もある。「ぼ」は「ぼうず(坊主)」だろうが、「び」の由来はなんだろう。「ひ(姫)」だろうか。
江戸時代、飛騨は直轄領だった。代官の一人(長谷川忠崇)は飛騨の言葉が江戸と違うことに興味をもち、108の語彙をあつめている。そのなかに「ぼ」と「び」もある。
(「ザ・飛騨弁フォーラム」参照)