5 アンチノミーの拡張
ヘーゲルは、アンチノミーを拡張する。
認識において偶然の過ちとして考えられていた「矛盾」は、無限なものの認識においては必然と考えられる。さらに、対立(矛盾)は認識だけではなく、存在にも普遍化されていく。対立(矛盾)が存在化される。アンチノミーはあらゆる現実的なものに存在するものとして拡張され、それと同時に理性は限界を越えて絶対化していく。
対立する二項を移行によって関連づける基礎が規定的否定である。他方、否定性を普遍化する基礎がアンチノミーの拡張である。それぞれが支えあい「対立(矛盾)」と「否定」は普遍化していったのである。
ヘーゲルは、アンチノミーを拡張する。
古い形而上学の立場では、認識が矛盾におちいるのは偶然の過ちにすぎず、それは推理や論証における主観的誤謬にもとづくと考えられていた。カントによれば、これに反して、無限なものを認識しようとすれば矛盾(アンチノミー)におちいるということは、思惟そのものの本性なのである。カント固有のアンチノミーは4つの限定されたものである。カントのアンチノミーの指示表出はスピノザ規定論の自己表出と関連することによって拡張される。これはスピノザの否定性を普遍化するため要請されたものである。カントの「認識」と「対立と矛盾」は、スピノザの規定論の自己表出と関連することによって存在化していった。
アンチノミーについて注意すべきもっとも重要なことは、アンチノミーは、宇宙論からとられた四つの特殊な対象のうちに見出されるだけでなく、むしろあらゆる種類のあらゆる対象のうちに、あらゆる表象、概念、および理念のうちに見出されるということである。
認識において偶然の過ちとして考えられていた「矛盾」は、無限なものの認識においては必然と考えられる。さらに、対立(矛盾)は認識だけではなく、存在にも普遍化されていく。対立(矛盾)が存在化される。アンチノミーはあらゆる現実的なものに存在するものとして拡張され、それと同時に理性は限界を越えて絶対化していく。
対立する二項を移行によって関連づける基礎が規定的否定である。他方、否定性を普遍化する基礎がアンチノミーの拡張である。それぞれが支えあい「対立(矛盾)」と「否定」は普遍化していったのである。