対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

ヘーゲル弁証法の解釈11

2015-03-28 | 弁証法
6 「論理的なものの三側面」の定式

「規定的否定」と「二律背反の拡張」は統一される。積極的に把握しなおされたアンチノミーの地平で積極的に把握しなおされた否定性が機能し始める。普遍化した対立の中を否定が自己関係的に進展していく形式が出現した。「対立する一項の内在的否定による進展」の形式である。認識と存在の弁証法は一体である。

ヘーゲルが「アンチノミーの真実で積極的意味」として強調したものは、「規定的否定」と「二律背反の拡張」が統一されたものである。これが「論理的なものの三側面」の定式の基礎にある考えである。定式を見ていこう。

(1)〈否定〉(悟性――否定的理性)
理性のアンチノミーにおいて問題となるのは、いろいろな理由にもとづいてああ考えたりこう考えたりすることでもなければ、単に主観的な行為でもなく、どんな悟性規定でも、それをその真の姿において考察しさえすれば、直接にその反対物に転化することを示すことである。
これが「弁証法的側面あるいは否定的理性の側面」の定式になった。
弁証法的モメントは、右に述べたような有限な諸規定の自己揚棄であり、反対の諸規定への移行である。
(2)〈否定の否定〉(否定的理性――肯定的理性)
ところでアンチノミーの真実で積極的な意味は、あらゆる現実的なものは対立した規定を自分のうちに含んでおり、したがって、ある対象を認識、もっとはっきり言えば、概念的に把握するとは、対象を対立した規定の具体的統一として意識することを意味する、ということにある。
これが「思弁的側面あるいは肯定的理性の側面」の定式になった。
思弁的なものあるいは肯定的理性的なものは対立した二つの規定の統一 、すなわち、対立した二つの規定の解消と移行とのうちに含まれている肯定的なものを把握する。