対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

εとμの複合4

2015-12-03 | εとμの複合
0 はじめに
1 電場と磁場の速さ
  1 ファインマンのEB推理
  2 EH推理による変奏
2 場の波動方程式(rot推理

2 場の波動方程式(rot推理)

真空中のマクスウェル方程式は次の4つである。
rot H=ε・∂E/∂t  (1)
rot E=-μ・∂H/∂t (2)
div H=0      (3)
div E=0      (4)
1では、(1)と(2)の左辺を1次元に単純化した。また(2)式のマイナスを考慮せず大きさだけ着目した。そして分母を払うという操作で式を変形した。こんどはrotのまま変形していこう(教科書と同じである)。ここでも電場や磁場を消去するとき、ε(イプシロン)とμ(ミュー)は複合される。このとき導かれる式は横波に対する「波動方程式」の形になる。

まず、電場Eを消去して「磁場Hのみが現れる式」を導いてみよう。これは(1)に(2)代入する。そのままでは代入できないので、両辺のrotをとる。
(1)の両辺を入れ替える。
ε・∂E/∂t=rot H
rotをとる。
rot(ε・∂E/∂t)=rot rot H
右辺に公式 rot rotA=grad div A-∇2Aを使うと
ε(∂/∂t) rot E=grad div H-∇2H
ここにrot E=-μ・∂H/∂t (2)とdiv H=0 (3)を入れると
-εμ (∂2H/∂t2)=-∇2H
整理して、2E/∂t2=1/(εμ)∇2E

次に、磁場Hを消去して「電場Eのみが現れる式」を導いてみよう。これは(2)に(1)代入する。こちらも同じである。そのままでは入らないので、両辺のrotをとる。
(2)の両辺を入れ替える。
-μ・∂H/∂t=rot E
rotをとる。
rot(-μ・∂H/∂t)=rot rot H
右辺に公式 rot rotA=grad div A-∇2Aを使うと
-μ(∂/∂t) rot H=grad div E-∇2E
ここにrot H=ε・∂E/∂t (1)とdiv E=0 (4)を入れると
-εμ (∂2E/∂t2)=-∇2E
整理して、2H/∂t2=1/(εμ)∇2H

「磁場Hのみが現れる式」と「電場Eのみが現れる式」をまとめると
2H/∂t2=1/(εμ)∇2H  ,  2E/∂t2=1/(εμ)∇2E
である。これは磁場Hも電場Eも波動方程式
2u/∂t2=1/(εμ)∇2u  , v2=1/(εμ)
を満たすことを示している。すなわち、磁場Hと電場Eは電磁波となって、速さv=1/√(εμ)で伝播することを示している。