対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「速さ」と「遅さ」

2016-03-09 | ノート
一定時間に進む距離(L/T)は「速さ」である。これに対して一定距離を進む時間(T/L)を「遅さ」と表わす表現があることを知った。速さと遅さは逆数関係にある。
「遅さ」はケプラーが面積速度一定の法則を導いていくとき指標したものである。近日点と遠日点で惑星の動きを判断するときに、一定の長さの弧をどれだけの時間で進むか(「遅さ」)を尺度とした。近日点で惑星は速く進み、遠日点では遅く進む。近日点と遠日点では惑星の「速さ」は太陽からの距離に反比例する。同じことだが、近日点と遠日点では惑星の「遅さ」は太陽からの距離に比例する。
(引用はじめ)
離心値がどのような大きさであれ、近日点における動きの速さと遠日点における遅さは、宇宙の中心から惑星に引いた線分の長さにほぼ比例する(『新天文学』岸本良彦訳)
(引用おわり)
宇宙の中心とは太陽のことである。意味は通じる。しかし、どうして近日点では「速さ」で遠日点では「遅さ」なのだろうか。原文はラテン語でそれに忠実な翻訳だが原文が曖昧なのである。山本義隆『世界の見方の転換3』の注にあるように、「近日点における動きの速さ」の「速さ」は「遅さ」とすべきだろう。すなわち「近日点における動きの《遅さ》と遠日点における《遅さ》」である。これなら統一して把握できる。

ちなみに私の「速さ」と「遅さ」は、Qs/Qm(es/em)とQm/Qs(em/es)である。
Qs/Qm= k3/(k11/2k21/2) [L/T] は「速さ」である。
Qm/Qs=(k11/2k21/2)/k3[T/L]は「遅さ」である。
しかし、「速さ」の値は小さく(1/c)、「遅さ」の値は大きい(c)。