対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「光の電磁波説」の誕生1

2016-03-25 | εとμの複合
はじめに

マクスウェルは電磁波の速度が1/√(εμ)であることを導いた。この値を推論するとき、ウェーバーとコールラウシュの実験を参考にした。実験は電磁単位と静電単位の比がc(光の速度)であることを示していた(Qm/Qs=c)。マクスウェルはどのようにして1/√(εμ)をcと同定したのだろうか。

1 3つの公式と1つの定義式 

マクスウェルの洞察の過程を次の3つの公式と1つの定義式を基礎にして構成する。

1 F1=k1・(qq’)/r2 (電荷に対するクーロンの法則)  
2 F2=k2・(mm’)/r2 (磁荷に対するクーロンの法則)
3 F3=k3・(2mI))/r (ビオ・サバールの法則)
4 I=dq/dt(電流と電荷の関係・定義式)
F・q・m・I・r・tは、それぞれ力・電気量・磁気量・電流・距離・時間を示す。 

2 2つの制約

比例定数k1k2k3にはk1k2/k32=(dr/dt)2=v2という制約があることはよく知られている。比例定数k1k2k3は1・2・3・4(3つの法則と定義式)の連立の中で考えられているのである。そしてこのk1k2/k32=v2の関係は電磁気の単位系(静電単位系・電磁単位系・ガウス単位系・MKSA単位系)を構成する基礎になっている。
一方、電磁単位と静電単位の比(Qm/Qs)は、比例定数k1k2k3と同じように制約されているにもかかわらず、こちらの制約は着目されてこなかった。いいかえると、電磁単位と静電単位の比(Qm/Qs)は、1・2・3・4の連立の中で考えられてこなかったのである。ここに光をあてよう。電磁単位と静電単位の比は制約されている。マクスウェルの推論の核心は、この制約を洞察したところにあったのである。