対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

8分の数学的背景1

2017-09-25 | 楕円幻想
火星が離心円上にあると仮定した場合、火星の方向が観測と計算では角度にして8分の食い違いがあった。この8分の違いをくわしくいうと、離心円の仮定で計算した真アノマリアの値は、離心アノマリアβ=45°の位置で約8分の過剰、β=135°の位置で約8分不足である。
図示してみよう。この図は山本義隆『世界の見方の転換』1にある図を90度左回転し、これまで見馴れた位置関係に合わせたものである。だいたいβが45°の位置の図である。

この図で白い円が離心円で、火星は計算上Kの位置にある。しかし火星の方向は観測上Pの位置にある。すでに楕円が描かれているが、ないものと思っていただきたい。離心アノマリアβ=45°の位置で約8分過剰というのは、∠KFAが∠PFAより約8分大きいことを指している。β=135°の位置は、描かれていないが、図の左下に現れる。この位置での約8分の不足は、∠KFAが∠PFAより約8分小さいことを指している。
ケプラーが仮定していたのは、1.火星は円軌道を回っていること、2.エカント点(離心距離の二等分CF=CE)、3.ティコのデータの3つである。ケプラーは2と3を維持し、1を放棄する。8分の過不足を調整するために、2と3の基礎の上に、離心円から三日月形を切り取り、楕円軌道をみつけるのである。