対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

8分の数学的背景2

2017-09-26 | 楕円幻想
8分の違いは、離心円の離心率eとすると、e2/4に基づいている。ここに、火星の離心率e=0.09265を代入すると出てくる。
e2/4=0.00214
この値は弧度法で表した角度で、これを度数法の角度で表すと、
0.00214×180÷3.14=0.123°
これを分に直すと、
0.123×60=7.3′ 
≒8′(8分)
e2/4は、離心円上にある火星と、楕円上にある火星の真アノマリアの角度の差の最大値である。e2/4を導いてみよう。

まず、プトレマイオスの離心円上にある火星と、ケプラーの楕円上にある火星の、真アノマリアαを離心アノマリアβの関係をみてみよう。
プトレマイオス(p)の場合

この図でPからABに垂線を下ろしその足をLとする(図に表示はない)。半径を1とする。PLをαβで表すと、
rpsinαp=sinβ
ここでrp= (1+e2+2ecosβ) 1/2 である。(注1)
ケプラー(k)の場合

ここでもPLをαβで表すことを考える。
rksinαk=√(1-e2)sinβ
ここでrk=1+ecosβ である。(注2)

次に、離心円上の火星の真アノマリアαpと楕円上の火星の真アノマリアαkの近似式を求め、その差をとってみよう。

注1 「離心円に内在する楕円1」をみてください。
注2
rkcosαk= FL = FC +CL =e+cosβ
rksinαk=PL = PL /KL ・sinβ=√((1-e2)sinβ
したがって、
rk = FP =√( FL 2+PL 2)=1+ecosβ
である。
(山本義隆『世界の見方の転換』参照)