ポリアはパスカルの比例関係に関する命題を陽表式の命題に置き換える。また、パスカルが書いた「比例」という言葉を「命題」に置き換えて、「数三角形」を引用している。
(引用はじめ)。
さて、パスカルを引用しよう。ただし本質を損なわない程度の変更を加え、そのうちのあるものは角括弧〔 〕に入れることにする。
このような置き換えによって、回帰公式から陽表式への過程が空白となり、また、数学的帰納法の歴史的な実例も違ったものに変更されることになってしまった。
パスカルは隣り合う2つの細胞の比例関係を帰納し、その比例関係を数学的帰納法で証明した。そして、その比例関係から陽表式を作った(注)。パスカルは陽表式を数学的帰納法で証明していない。比例関係を証明した後、その比例関係を使って陽表式を提出しただけである。しかし、パスカルが論文の最後で陽表式をさらに数学的帰納法で証明したということにすれば、ポリアの展開は有意義なものになる。「数三角形」にある「比例」の証明が数学的帰納法の最初である。陽表式の証明はその次となる。
次にポリアの陽表式の証明を見ておこう。
(注)この過程は『数学入門(下)』(遠山啓著、岩波新書、1960年)10章に3ページほどでまとめてあります。また、原典と対照したまとめはカテゴリー「パスカルの三角形」の記事にあります。
(引用はじめ)。
さて、パスカルを引用しよう。ただし本質を損なわない程度の変更を加え、そのうちのあるものは角括弧〔 〕に入れることにする。
この命題〔陽表式〕は無限に多くの場合を含むが、予はそれに対し、二つの補題を仮定して極めて短い証明を与えよう。(引用おわり)
第一補題は、命題が第一底辺に対して成立することを主張するものだが、それは明白である。〔中略〕
第二補題は、次のことを主張する。もし命題が、たまたま任意の底辺に対して〔任意のnの値に対して〕成立するならば、その次の底辺に対して〔n+1に対して〕も必ず成立する。
以上のことから、命題がすべてのnの値に対して成立することが分かる。なぜなら、それは第一補題により、n=1に対して成立する。したがって、第二補題によってn=2に対して成立する。したがって、また第二補題によってn=3に対して成立する。こうして無限に進めるわけである。
それで第二補題を証明すること以外は何も残っていない。
このような置き換えによって、回帰公式から陽表式への過程が空白となり、また、数学的帰納法の歴史的な実例も違ったものに変更されることになってしまった。
パスカルは隣り合う2つの細胞の比例関係を帰納し、その比例関係を数学的帰納法で証明した。そして、その比例関係から陽表式を作った(注)。パスカルは陽表式を数学的帰納法で証明していない。比例関係を証明した後、その比例関係を使って陽表式を提出しただけである。しかし、パスカルが論文の最後で陽表式をさらに数学的帰納法で証明したということにすれば、ポリアの展開は有意義なものになる。「数三角形」にある「比例」の証明が数学的帰納法の最初である。陽表式の証明はその次となる。
次にポリアの陽表式の証明を見ておこう。
(注)この過程は『数学入門(下)』(遠山啓著、岩波新書、1960年)10章に3ページほどでまとめてあります。また、原典と対照したまとめはカテゴリー「パスカルの三角形」の記事にあります。