対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

エイトンと山本義隆を読み比べる7

2019-09-24 | 楕円幻想
火星が離心円上にある場合と楕円上にある場合の火星-太陽間の距離について見ておこう。端緒と一般化に分けてそれぞれ確認しておこう。
ここでは楕円HFIを前提にするので、離心円と楕円は1:√(1-e2)の比(例えば、KL:ML)に分割されることは前提である。また、離心円の半径を1、離心率をeとする。

1、端緒でのAE、AFの距離

離心円上の火星-太陽間の距離AEは△EABに着目して、三平方の定理より、
AE 2 EB 2AB2
=12+e2
したがって、 AE √(12+e2)=(12+e2) 1/2
離心率eは十分小さいので、べき展開して2次までとると次のようになる。、
AE =1+e2/2

楕円上の火星-太陽間の距離AFは△FABに着目して、三平方の定理より、
AF 2 FB 2AB 2=(√(1-e2))2+e2=1
したがって
AF =1

楕円上の火星-太陽間の距離AF=1は半径EB=1と等しく、
また、離心円上の火星-太陽間の距離AEと半径EBは、AE cos(∠AEB)=EB の関係にある。

2、一般化でのAK、AMの距離

AKは△KABに着目する。余弦定理より、
AK 2=12+e2-2・1・e・cos(π-β)=12+e2+2・1・e・cosβ=12+e2+2ecosβ
したがって、
AK =√(12+e2+2ecosβ)=(12+e2+2ecosβ) 1/2
離心率eは十分小さいので、べき展開して2次までとると次のようになる。
AK =1+ecosβe2/2・sin2β

AMは△MALに着目する。三平方の定理より、
MA 2 AL 2ML 2
ここで、
AL AB BL e+cosβ
ML ML /KL ・sinβ=√(1-e2)・sinβ
である。したがって、
AM =√( AL 2ML 2)=1+ecosβ
である。

楕円上の火星-太陽間の距離AM=1+ecosβ1は直径距離KT=KB+BT=1+ecosβに等しく、
また、離心円上の火星-太陽間の距離AKと直径距離KTは、AKcos(∠AKT)=KT の関係にある。

一般的な位置と端緒の位置を対応させれば次のようになる。端緒の位置はβ=90°だから、cos90°=0、sin90°=1である。

AK=1+ecosβ+e2/2・sin2β  → AE=1+e2/2
AM=1+ecosβ       → AF=1
KT=1+ecosβ       → EB=1

これらを背景にして、ケプラーの「目覚め」を見てみよう。ケプラーは離心円上の軌道から三日月形を切り取る理由とその方法を考えている。軌道は楕円ではないかという予感はある。切り取る三日月形の最大の幅は429で、図のF点は求める軌道上にあることはわかっている。ケプラーはE点とF点を見つめる。

(つづく)