「オイラーの公式、起承転結。」をHTMLで作成し、ホームページ「対話とアウフヘーベン」で見られるようにしました。CPでブログをご覧の方にお勧めします。
「オイラーの公式、起承転結。」
「はじめに」より
10年ほど前(2009年)、わたしのもとに「Eulerの公式の導出いろいろ」というタイトルの論文(2008.2.2稿)が送られてきた。わたしはホームページに「オイラーの公式と複合論」(2005年)を公表していた。それに対する参考文献として送付されたものである。そこには次のような7つの導出方法がまとめられていた。
1. Taylor展開を用いた導出
2. 微分方程式を用いた導出ーその1
3. 微分方程式を用いた導出ーその2
4. de Moivreの公式を用いた導出
5. 新関の導出
6. Eulerの導出
7. Eulerの発見法的な導出
知っていたのは、1と7だけだった。わたしの論考は基本的に7. Eulerの発見法的な導出と同じもので、「無限解析」(『オイラーの無限解析』)に依拠した志賀浩二の『無限のなかの数学』を参考にしたものである。わたしは『オイラーの無限解析』ではじめて導かれたものと思っていたので、それ以前の導出を示す「グレイゼルの数学史Ⅲ」の記述は意外に思われた。矢野忠先生(と呼ばしてもらう、そのときはまったく知らない人だった。)はグレイゼルが言及している論文と「無限解析」の時間的前後関係を気にされていた。いいかえると、オイラーの公式の発見は6. Eulerの導出が先で、7. Eulerの発見法的な導出は後ではないかということだった。「グレイゼルの数学史Ⅲ」の記述は確かにそれを指示していた。6. Eulerの導出は、先生が「グレイゼルの数学史Ⅲ」の記述にもとづいてオイラーの発見を推論したものである。それは自由調和振動の微分方程式の特殊解が推論の核になっていて、「無限解析」(『オイラーの無限解析』)とはまったく違っていた。これについて意見を求められていたのである。
いまにして思えば、そのときは、6. Eulerの導出をよく理解できていなかった。『オイラーの無限解析』の導出だけに固執していた。5年ほど前に「オイラーの公式と弁証法」(2016年)をまとめたときも、6. Eulerの導出についてはまったく考慮していない。
ところが、今年(2020年)になって、「数学・物理通信」(10巻2号、2020.3.31)に「微分方程式と三角関数」(矢野忠)が載り、興味をもった。オイラーの公式が喚起されて、「Eulerの公式の導出いろいろ」が「数学・物理通信」に掲載されているのではないかと思い、探してみた。すると、4巻2号(2014年9月)にあった。改めて読んでみると、6. Eulerの導出の意味がわかるような気がした。オイラーはたしかに異なったアプローチをしている。6. Eulerの導出と7. Eulerの発見法的な導出をつなげば、オイラーの公式の発見の過程に迫れるのではないかと思われた。
「オイラーの公式、起承転結。」
「対話とアウフヘーベン」のホームページ、「オイラーの公式、起承転結。new」をクリックしてもよい。
「オイラーの公式、起承転結。」
「はじめに」より
10年ほど前(2009年)、わたしのもとに「Eulerの公式の導出いろいろ」というタイトルの論文(2008.2.2稿)が送られてきた。わたしはホームページに「オイラーの公式と複合論」(2005年)を公表していた。それに対する参考文献として送付されたものである。そこには次のような7つの導出方法がまとめられていた。
1. Taylor展開を用いた導出
2. 微分方程式を用いた導出ーその1
3. 微分方程式を用いた導出ーその2
4. de Moivreの公式を用いた導出
5. 新関の導出
6. Eulerの導出
7. Eulerの発見法的な導出
知っていたのは、1と7だけだった。わたしの論考は基本的に7. Eulerの発見法的な導出と同じもので、「無限解析」(『オイラーの無限解析』)に依拠した志賀浩二の『無限のなかの数学』を参考にしたものである。わたしは『オイラーの無限解析』ではじめて導かれたものと思っていたので、それ以前の導出を示す「グレイゼルの数学史Ⅲ」の記述は意外に思われた。矢野忠先生(と呼ばしてもらう、そのときはまったく知らない人だった。)はグレイゼルが言及している論文と「無限解析」の時間的前後関係を気にされていた。いいかえると、オイラーの公式の発見は6. Eulerの導出が先で、7. Eulerの発見法的な導出は後ではないかということだった。「グレイゼルの数学史Ⅲ」の記述は確かにそれを指示していた。6. Eulerの導出は、先生が「グレイゼルの数学史Ⅲ」の記述にもとづいてオイラーの発見を推論したものである。それは自由調和振動の微分方程式の特殊解が推論の核になっていて、「無限解析」(『オイラーの無限解析』)とはまったく違っていた。これについて意見を求められていたのである。
いまにして思えば、そのときは、6. Eulerの導出をよく理解できていなかった。『オイラーの無限解析』の導出だけに固執していた。5年ほど前に「オイラーの公式と弁証法」(2016年)をまとめたときも、6. Eulerの導出についてはまったく考慮していない。
ところが、今年(2020年)になって、「数学・物理通信」(10巻2号、2020.3.31)に「微分方程式と三角関数」(矢野忠)が載り、興味をもった。オイラーの公式が喚起されて、「Eulerの公式の導出いろいろ」が「数学・物理通信」に掲載されているのではないかと思い、探してみた。すると、4巻2号(2014年9月)にあった。改めて読んでみると、6. Eulerの導出の意味がわかるような気がした。オイラーはたしかに異なったアプローチをしている。6. Eulerの導出と7. Eulerの発見法的な導出をつなげば、オイラーの公式の発見の過程に迫れるのではないかと思われた。
「オイラーの公式、起承転結。」
「対話とアウフヘーベン」のホームページ、「オイラーの公式、起承転結。new」をクリックしてもよい。