対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

指数と対数の起源3

2020-05-08 | 指数と対数
a ω=1+から次の式が導かれた。
  az=1+kz/1+k2z2/ 1・2+ k3z3/ 1・2・3+k4z4/1・2・3・4+···   (1)
   
この式においてz=1とおくと、底ak の間の関係に焦点が当たる。
  a=1+k/1+k2/ 1・2+ k3/ 1・2・3+k4/1・2・3・4+···    (2)  
k は底a に依存している。a=10(常用対数)ではだいたい k=2.30258ほどである。反対に底 ak に依存する。k=1としたとき(2)式は次のようになる。
  a=1+1/1+1/ 1・2+ 1/ 1・2・3+1/1・2・3・4+··· 
オイラーはこれを計算して、2.71828182845904523536028としている。そして、これを文字 eで表わすことを提起している(exponential(指数の)の eなのだろうか、それともEuler(オイラー)の eなのだろうか)。
  e=1+1/1+1/ 1・2+ 1/ 1・2・3+1/1・2・3・4+···      (3)
これは
  e=limn→(1+1/n) n
と括ることができる。e は自然対数(もしくは双曲線対数)の底を表わしている。これはネイピアの対数に潜んでいたものをはじめて顕在化したものである。強調していえば、ネイピア数はここにこのように出現した。

(1)式にもどろう。オイラーは z=1、k=1 を代入することによって、自然対数の底、ネイピア数 e を導いた。こんどは、k=1だけを代入して指数関数を導く。強調していえば、ここに指数関数が出現する。k=1 を代入することによって、ae に変わる。そして z は変数として現れる。(1)式は次のようになる。
  ez=1+z/1+z2/ 1・2+ z3/ 1・2・3+z4/1・2・3・4+···     (4) 
ここに「冪指数が変化量である冪」(オイラー)として指数関数が現れた。その級数表示は、次のように集約できる(注)。
  ez=limn→(1+z/n) n 

オイラーが冪から出発して、(3)式、ネイピア数(自然対数の底)を導き、(4)式、指数関数を提起する過程を見てきた。次に対数に移ろう。

(注)これはオイラーの表記では次のようである。
    ez=(1+z/i) i