対話とモノローグ

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指数と対数の起源5

2020-05-14 | 指数と対数
ジョン・ネイピア 対数誕生物語」(桜井進)と「対数の誕生・成長・発展」(成田收)を参考にしています。


ネイピアの対数表は、整数値に対してのものではなかった。当時、天文や航海の計算に使われていた三角関数(正弦)の値を計算できるようにするものだった。

次の図(桜井進「ジョン・ネイピア 対数誕生物語」より)を参考にして見ておこう。
  
ネイピアはまず、初項1000万・公比 r = (1− 1/10000000 ) = (1− 1/107 )=0.9999999 の等比数列{an}を考える。1に限りなく近い公比は刻みを小さくするためである。ネイピアは1分刻みの角度 θ に対し107sin θ (Sinus θ)が、等比数列の何項目にあたるかを計算して対応する表を作った。これがネイピアの対数表である。

ネイピアの等比数列において、初項は第0項である。これで等比数列の何項目かの順序数と公比をかけあわせる回数は一致する。この回数をネイピアはlogarithms(対数)と名付けた。これはlogos(比)とarithmos(数)を合わせたものである。公比をかけあわせた回数が logarithms(対数)の由来である(注1)。初項を第0項としたのは、これは1の対数を0とすることを意味した。logarithms(対数)は公比 0.9999999の肩の位置に配置されている。これは後の「べき指数」の位置である(注2)。

例として取り上げられている3173047(sin 18°30')は、
初項 a0=10000000(sin 90°)
第1項 a1=9999999
第2項 a2=9999998

から始まって、
第11478926項 a11478926=3173047
であることを示している。
膨大な計算が背後に感じられる。

当時は7桁×7桁の計算が求められていたことがわかる。

かけ算をたし算でやるやり方を確認しておこう。

(注1)(注2)後述