対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「虚対数が円弧に帰着される」とは

2020-11-02 | 指数と対数
「虚指数量が実の正弦と余弦に帰着される」ことは1740年代の初めにオイラー自身が気づき定式化したものである。これに対して、「虚対数が円弧に帰着される」ことは、もっと早く1702年にヨハン・ベルヌーイによって提起されていたものである。志賀浩二は次のように言っている。「虚数を用いるとarc tan xが対数によって表わすことができるという驚くべき公式を見出すことに成功した」(『数の大航海』)。それは次のようなものである。
  
この式は
  
を積分することによって求められた。
 また、左辺のarc tan z にはグレゴリーの級数(1671年)がある(注)。
  
z=1のときは、ライプニッツの級数(1674年)になる。
  
これらの式が「虚対数」と「円弧」に関連する式である。オイラーはこれらを1/n倍角の公式から導出する。

(注)
これは初項1、公比の無限等比級数の和
  
の両辺を積分することによって求められる。