『オイラーの無限解析』第8章の注に、オイラーの公式の前身が示されている(ゴールドバッハ宛書簡)。ここにはeは登場していない。
1741年
1742年
これは虚の指数と三角関数(余弦と正弦)の関係ではなく、虚の指数と余弦に限定されている。オイラーの関心は、虚の指数と三角関数(余弦)との関係というよりも、虚の指数にもかかわらず実の値(余弦)になることにあったと思われる。
正弦と虚の指数関数との関係を把握するには、さらに log a から log e へ変わる必要があった。指数の底が a から e(ネイピア数、自然対数の底)に変わることによって、対数(log)の表示が消えるのである。この指数の底の転換がオイラーの公式(1743年と思われる)の跳躍点だった。
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指数の底 e に着目するきっかけになったのは、自由調和振動の微分方程式の成立条件だと述べた(「オイラーの公式—起承転結」付録 1 オイラーの公式、「起」から「承」へ、「数学・物理通信」10-7参照)。それだけでなく、ここには冪から作った指数関数からeが導入されたことが前提となっている。指数の底aと比例定数kが、k=log aの関係を持ち、k=1のときがa=eだったのである。
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これは虚の指数と三角関数(余弦と正弦)の関係ではなく、虚の指数と余弦に限定されている。オイラーの関心は、虚の指数と三角関数(余弦)との関係というよりも、虚の指数にもかかわらず実の値(余弦)になることにあったと思われる。
正弦と虚の指数関数との関係を把握するには、さらに log a から log e へ変わる必要があった。指数の底が a から e(ネイピア数、自然対数の底)に変わることによって、対数(log)の表示が消えるのである。この指数の底の転換がオイラーの公式(1743年と思われる)の跳躍点だった。
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指数の底 e に着目するきっかけになったのは、自由調和振動の微分方程式の成立条件だと述べた(「オイラーの公式—起承転結」付録 1 オイラーの公式、「起」から「承」へ、「数学・物理通信」10-7参照)。それだけでなく、ここには冪から作った指数関数からeが導入されたことが前提となっている。指数の底aと比例定数kが、k=log aの関係を持ち、k=1のときがa=eだったのである。