『言語にとって美とはなにか』の第一章「言語の本質」は次の3つの節からなっている。
1発生の機構
2進化の特性
3音韻・韻律・品詞
今回は1発生の機構において、オノマトペの位置づけを考えてみよう。
『言語の本質』に〈オノマトペは基本的に物事の一部分を「アイコン的」に写し取り、残りの部分を換喩的な連想で補う点〉とある。吉本隆明はオノマトペを意識の「しこり」・「さわり」において見ているといえる。〈言語は、動物的な段階では現実的な反射であり、その反射がしだいに意識のさわりを含むようになり、それが発達して自己表出として指示性をもつようになったとき、はしめて言語とよばれるべき条件を獲取した。)
次は、ひろびろとした海、ザーザーと波が打ち寄せる音を背景に読んみるといいのではないかとおもう。
(引用はじめ)
たとえば狩猟人が、ある日はじめて海岸に迷いでて、ひろびろと青い海をみたとする。人間の意識が現実的反射の段階にあったとしたら、海が視覚に反映したときある叫びを〈う〉なら〈う〉と発するはずである。また、さわりの段階にあるとすれば、海が視覚に映ったとき意識はあるさわりを〈う〉なら〈う〉という有節音を発するだろう。このとき〈う〉という有節音は海を器官が視覚的に反映したことにたいする反映的な指示音声であるが、この指示音声の中に意識のさわりがこめられることになる。また狩猟人が自己表出のできる意識を獲取しているとすれば〈海(う)〉という有節音は自己表出として発せられて、眼前の海を直接的にではなく象徴的(記号的)に指示することとなる。このとき、〈海(う)〉という有節音は言語としての条件を完全にそなえることになる。
(引用おわり)傍点をゴシックて表示
1発生の機構
2進化の特性
3音韻・韻律・品詞
今回は1発生の機構において、オノマトペの位置づけを考えてみよう。
『言語の本質』に〈オノマトペは基本的に物事の一部分を「アイコン的」に写し取り、残りの部分を換喩的な連想で補う点〉とある。吉本隆明はオノマトペを意識の「しこり」・「さわり」において見ているといえる。〈言語は、動物的な段階では現実的な反射であり、その反射がしだいに意識のさわりを含むようになり、それが発達して自己表出として指示性をもつようになったとき、はしめて言語とよばれるべき条件を獲取した。)
次は、ひろびろとした海、ザーザーと波が打ち寄せる音を背景に読んみるといいのではないかとおもう。
(引用はじめ)
たとえば狩猟人が、ある日はじめて海岸に迷いでて、ひろびろと青い海をみたとする。人間の意識が現実的反射の段階にあったとしたら、海が視覚に反映したときある叫びを〈う〉なら〈う〉と発するはずである。また、さわりの段階にあるとすれば、海が視覚に映ったとき意識はあるさわりを〈う〉なら〈う〉という有節音を発するだろう。このとき〈う〉という有節音は海を器官が視覚的に反映したことにたいする反映的な指示音声であるが、この指示音声の中に意識のさわりがこめられることになる。また狩猟人が自己表出のできる意識を獲取しているとすれば〈海(う)〉という有節音は自己表出として発せられて、眼前の海を直接的にではなく象徴的(記号的)に指示することとなる。このとき、〈海(う)〉という有節音は言語としての条件を完全にそなえることになる。
(引用おわり)傍点をゴシックて表示