対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「論理的なもの」の表出論3

2020-11-12 | 自己表出と指示表出
 ケストラーの創造活動の理論「バイソシエーション」(二元結合)を説明するために認識の構造として自己表出と指示表出を導入した。これが最初である。許萬元の『弁証法の理論』を検討していく中で、バイソシエーションのモデル(複素過程論)は弁証法と重なるのではないかと思われた。許萬元によれば弁証法は「論理的なものの三側面」に集約される。「認識」を「論理的なもの」に置き換えた。そして「論理的なもの」の構造として自己表出と指示表出を想定して、弁証法の理論を展開しようと試みたのである。
 弁証法の起源は「対話」にある。しかし、「対話」は「論理的なものの三側面」に欠如しているように思えた。参考にした上山春平(認識における対立物の統一)、中埜肇(対話をモデルとした思考方法)にも「対話」はないように思えた。
 対話のモデルを作った。価値形態論の2つの「商品」(リンネルと上着)の価値関係と交換関係を基礎にした。吉本隆明は「言語」と「商品」の対応を指摘し、自己表出と指示表出を価値と使用価値に対応させていた。「論理的なもの」の自己表出と指示表出の関係に「商品」の価値と使用価値を応用できないかと考えたのである。そして、2つの「論理的なもの」が1つの「論理的なもの」に変換されていく過程を「複合論」(ひらがな弁証法)として提起した。(「ひらがな弁証法」)

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