対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

あれとこれと

2005-02-20 | 学問
 ヘーゲルの「あれもこれも」とキルケゴールの「あれかこれか」と対照させると、わたしが主張している複合論は「あれとこれと」と表現できるのではないかと思います。


 わたしは弁証法を、対話をモデルとした思考方法で、認識における対立物の統一であると考えています。そして、認識における対立物の統一の過程に、選択・混成・統一の三段階を想定しています。


1(選択) 複数の「論理的なもの」の中から、対象の把握に関連がありそうな「論理的なもの」を二つ選択する段階。

2(混成)  二つの「論理的なもの」を対立させ、区別した規定を混成する段階。

3(統一) 混成した二つの規定を統一することによって、対象に対応する一つの「論理的なもの」を確定する段階。


 「論理的なもの」を、二つ「選択」し、その二つを「混成」して、「統一」するという三段階です。「選択」で始まり、「統一」で終わる三段階です。正反合の図式と比べると、一つではなく、二つの「論理的なもの」から、弁証法を始めているところに特徴があります。正・反・合ではなく、複・合です。

 二つの「論理的なもの」を、「あれ」と「これ」と考えると、一つではなく、二つを選択するのですから、「あれかこれか」ではなく、「あれとこれと」です。

 一方、たくさんある「論理的なもの」の中から、選択した二つだけを統一するのですから、「あれもこれも」すべてを統一するのではなく、「あれとこれと」だけを統一するのです。

 一つではなく二つを選択し、すべてではなく二つだけを統一するのが、「あれとこれと」の弁証法です。

 「あれとこれと」は、「あれかこれか」と「あれもこれも」の間にあり、「選択」(キルケゴール)と「統一」(ヘーゲル)を受け継いでいると考えています。 
 




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