対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

2つの線分が消えた理由9

2022-01-06 | 楕円幻想
13等速円運動の放棄と面積法則、14楕円軌道への道、15ケプラーの第1法則、16第2法則の完成 と続けて読んでみると、14に対して強い違和感を感じるだけで、15・16は多くの文献に依拠し的確な展開になっていると思われる。15は楕円軌道を前提せず、楕円軌道へと推論していく過程が描かれている。16では面積法則と直径距離との関係が簡潔に描かれている。

ところが、14では火星ー太陽間の距離が直径距離で与えられる点だけに焦点を当てた展開になっている。円周距離と直径距離の関係を見るのではなく、楕円軌道上の火星(火星ー太陽間の距離)と直径距離だけに限定した展開になっている。これをケプラーの目覚めと捉えていることが奇異な感じを生む原因となっている。

15を山本義隆は次のように始めている。「これでゴールかと思われるが、あくまで物理的原因にこだわるケプラーは、ここからすぐに軌道が楕円であると結論づけたのではない。」
このあと物理的原因に関連した展開が続き楕円軌道と結論づけていく。この方向に異論はないが、こちらの立場を強調すれば、「ここでゴール」と思われるのは山本義隆は14で楕円軌道を前提とした展開をしていたからである。ケプラーは円周距離ではなく直径距離が火星ー太陽間の距離を与えることを発見しただけで、真アノマリーは見出されていない。火星の位置は見出されていないのである。それはZを経て(豊頬線)、やっとM(楕円)に決定されるのである。

14楕円軌道への道では、2つの線分を消してはならず、また楕円軌道を前提にしてはいけないのである。

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