対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

草を刈った

2018-12-14 | 日記
午前中、3時間ほどかけて草を刈った。道路際はさっぱりした。にら、イヌホウズキ、ヨウシュヤマゴボウを手で抜いてから、草刈り機で刈った。また、3か所のカンナはすべて切った。平坦になるだけで庭の印象がずいぶん違う。

南側の通路、玄関先、東側の通路もきれいになった。後始末は明日以降になる。運動したおかげで、体の調子もいい。

草が気になるが・・・

2018-12-13 | 庭の草木
水仙の葉が出てくる前に、草刈り機で草を刈っておくつもりだったが、機を逃してしまった。葉が出始めたころ、一部の水仙の周りを手でむしったが、ほとんどの草はそのままになってしまった。いまでは水仙に花が咲いている。

草の勢いはすでになくなっており、このままでもいいのだが、やはり見栄えが悪い。特に、道路に面したところは気になる。また、庭の3か所ほどで立ったままのカンナも気になる。きれいにした方がいいのだが、これがすんなりと実行できない。どうしたものか。


数学的帰納法は誘導か

2018-12-12 | ノート
瀬山士郎『なっとくする数学の証明』(講談社、2013年)に数学的帰納法の説明がある。
(引用はじめ)
帰納法をinductionといいます。数学的帰納法もmathematical inductionといいます。indutionを英和辞典で調べると、誘導とか誘発、提示、提出という意味が出てきます。普通の帰納法は証拠の提示という意味なのでしょう。数学的帰納法は誘導というと分かりやすいと思います。つまり、初めから順にドミノ倒しと同じ感覚で、次々と無限個の命題が証明されていくわけです。
(引用おわり)
最初、これを読んだとき、間違っていると思った。というのは「誘導」はinduction全体と対応しているのではなく、ductionとだけ対応しているからである。inが無視されているように思えたからである。演繹はdeductionで、こちらも誘導の意味を含んでいる。だから、「誘導」はあいまいで、正確に帰納法や数学的帰納法を捉えるにはinduction全体を取り込まなければならないと思えたのである。

しかし、さらに考えていると、「数学的帰納法は誘導」というのは案外いいのではないかと思えてきた。というのは、数学的帰納法は、「帰納論理とは違って、純粋に自然数の構造に依存した演繹論理の一種」であり、deductionの意味も持っているからである。つまり、数学的帰納法にinductionとdeductionとの二重の意味を重ねれば、「誘導」はうまい具合にinとdeの意味が捨象されたように読みとれるからである。

しかし、さらに考えてみると、やはり違っているのではないかと思う。正確に帰納法や数学的帰納法を捉えるにはやはりinduction全体を取り込まなければならないと思う。

繍眼児(メジロ)が鳴いていた

2018-12-11 | 庭に来る鳥
この時期、鳥はまだ蜜柑を好まない。個体差もあるだろうが、鳥が蜜柑を啄みに来るのは年が明けてからが多いように思う。糖度の違いがあるのだろうか。ただ今年は1羽だけヒヨドリが蜜柑を啄んでいる。2週間ほどいるようだ。近づくと警戒して逃げていく。
今日も近づいていくとヒヨドリは逃げていったが、その後も、近くで鳥の鳴き声がしていた。メジロだった。枇杷の枝に止まっていた。近くなのに不思議と逃げていかない。しばらく鳴き声を聞いていた。ホーホッと鶯のような声も聞こえてきたような気がした。
メジロは漢字で目白と書くが、「繍眼児」という表記もある。「繍」は刺繍の「繍」で、眼の周りの白い部分が小さな羽を刺繍したように見えることから名づけられたのだという。「目白」よりも微細に立ち入った名前となっている。目を凝らしてみると、たしかに白い部分は、平滑ではなく白い羽が花びらのように刺繍されているように見える。


陽表式の数学的帰納法による証明

2018-12-07 | パスカルの三角形
数三角形の細胞nCrの陽表式は
nCr
=n!/r!(n-r)!
=n(n-1)(n-2)・ ・・・ ・(n-r+2)(n-r+1)/1・2・3・ ・・・ ・(r-1)・r
になった。
これを数学的帰納法で証明しておこう。
第二補題だけをみる。

陽表式がnについて成り立っていると仮定する。
すなわち、一つの細胞とそれに隣接する細胞について、
nCr=n(n-1)(n-2)・ ・・・ ・(n-r+2)(n-r+1)/1・2・3・ ・・・ ・(r-1)・r

nCr-1=n(n-1)(n-2)・ ・・・ ・(n-r+2)/1・2・3・ ・・・ ・(r-1)
を仮定する。

これら二つの等式を加えると、
nCrnCr-1
=n(n-1)(n-2)・ ・・・ ・(n-r+2)/1・2・3・ ・・・ ・(r-1)・[(n-r+1)/r + 1]
=n(n-1)(n-2)・ ・・・ ・(n-r+2)/1・2・3・ ・・・ ・(r-1)・(n+1)/r
=(n+1)n(n-1)(n-2)・ ・・・ ・(n-r+2)/1・2・3・ ・・・ ・(r-1)・r  ……(p)
となる。
ここで最後の式(p)
(n+1)n(n-1)(n-2)・ ・・・ ・(n-r+2)/1・2・3・ ・・・ ・(r-1)・r

n(n-1)(n-2)・ ・・・ ・(n-r+1)/1・2・3・ ・・・ ・r=nCr
と対照してかけば、
=(n+1)((n+1)-1)((n+1)-2)・ ・・・ ・((n+1)-r+1)/1・2・3・ ・・・ ・r
n+1Cr
である。
したがって、(p)は、
回帰公式n+1CrnCrnCr-1を満たし、
陽表式nCr=n!/r!(n-r)!が
(n+1)に対しても成立していることを示している。
これで証明は終わった。

(注)『数学の問題の発見的解き方1』第3章参照、式の変形は記号(nr)をnCrに置き換えて引用した。


比例から陽表式への置き換え

2018-12-06 | パスカルの三角形
ポリアはパスカルの比例関係に関する命題を陽表式の命題に置き換える。また、パスカルが書いた「比例」という言葉を「命題」に置き換えて、「数三角形」を引用している。
(引用はじめ)。
さて、パスカルを引用しよう。ただし本質を損なわない程度の変更を加え、そのうちのあるものは角括弧〔 〕に入れることにする。
この命題〔陽表式〕は無限に多くの場合を含むが、予はそれに対し、二つの補題を仮定して極めて短い証明を与えよう。
第一補題は、命題が第一底辺に対して成立することを主張するものだが、それは明白である。〔中略〕
第二補題は、次のことを主張する。もし命題が、たまたま任意の底辺に対して〔任意のnの値に対して〕成立するならば、その次の底辺に対して〔n+1に対して〕も必ず成立する。
以上のことから、命題がすべてのnの値に対して成立することが分かる。なぜなら、それは第一補題により、n=1に対して成立する。したがって、第二補題によってn=2に対して成立する。したがって、また第二補題によってn=3に対して成立する。こうして無限に進めるわけである。
それで第二補題を証明すること以外は何も残っていない。
(引用おわり)
このような置き換えによって、回帰公式から陽表式への過程が空白となり、また、数学的帰納法の歴史的な実例も違ったものに変更されることになってしまった。

パスカルは隣り合う2つの細胞の比例関係を帰納し、その比例関係を数学的帰納法で証明した。そして、その比例関係から陽表式を作った(注)。パスカルは陽表式を数学的帰納法で証明していない。比例関係を証明した後、その比例関係を使って陽表式を提出しただけである。しかし、パスカルが論文の最後で陽表式をさらに数学的帰納法で証明したということにすれば、ポリアの展開は有意義なものになる。「数三角形」にある「比例」の証明が数学的帰納法の最初である。陽表式の証明はその次となる。

次にポリアの陽表式の証明を見ておこう。

(注)この過程は『数学入門(下)』(遠山啓著、岩波新書、1960年)10章に3ページほどでまとめてあります。また、原典と対照したまとめはカテゴリー「パスカルの三角形」の記事にあります。






ジョウビタキのメスだった。

2018-12-05 | 庭に来る鳥
ミカンを収穫しはじめた。ミカンの実のつき方をカメラに収めるつもりで、庭に出た。その瞬間に予定が変わった。自転車のカゴに鳥が止まっていた。カッカッカッと鳴いたから、ジョウビタキだと思った。何枚か撮っていると、モズのメスのようにも思えてきた。見覚えのあるジョウビタキとは違っている。近づいていくと、鳥は飛び去ってしまった

ジョウビタキのメスとモズのメスはよく似ていて、遠くからはわかりにくいという。写真を見ると嘴がモズではないようにも思える。モズの雌雄は今年の春に意識するようになった。そのときの写真を見ると、今日の鳥はモズではないことがわかる。嘴や眼の後ろが違う。ジョウビタキのメスはつばさに白斑がある。たしかに写真に写っている。日が当たって見づらいが、尾もオレンジ色をしている。これまで知っていたジョウビタキはすべてオスだったのだろう。今日初めて、メスのジョウビタキを見たことになる。

ポリアの「数三角形」論

2018-12-04 | パスカルの三角形
『数学の問題の発見的解き方1』(柴垣和三雄・金山靖夫訳、みすず書房、1964年、新装版2017年)3.7.「数学的帰納法」の最初の段落を見てみよう。小さな文字はすでに引用したものである。
(引用はじめ)
回帰公式を使ってパスカルの三角形に含まれる数を計算するには、その前の底辺にある二つの数を前以って知っていて、それに頼らなければならない。そのような予備知識に頼らない計算方式があればよいと思われるであろう。よく知られた、二項係数の陽表式と呼ぶ公式
  (nr)=n(n-1)(n-2)・ ・・・ ・(n-r+1)/1・2・3・ ・・・ ・r
があって、これを用いればそのような独立の計算ができる。パスカルの論文にこの陽表式がふくまれている。(しかし、それはここに書いたような現代的記法ではなくて、言葉で述べられている)。
パスカルはどうやってそれを発見したのか述べていない、それでここでも、彼がどうやってそれを発見したであろうかと、あまり詮索しないことにしよう。(多分、彼は最初それをただ推測で得たのであろう――こういうものは、観測と観察したものを試しに一般化してみることによって発見されることが多いものである(三角数やピラミッド数を表わす式は、二項係数の一般的陽表式以前に知られていた。そして、これらの式から帰納によって、その一般公式が発見されるに到ったのだろう。ポリアが指示する注意先を引用。引用者注))。しかし、パスカルはこの陽表式に素晴らしい証明を与えている、それで彼の証明法に十分な注意を払いたいと思う。
(引用おわり)
ポリアはたしかにこのように述べている。何度、読んでも、また、新装版でも旧版でも。まず、「パスカルはどうやってそれを発見したのか述べていない」と書いている。これがもう信じられない。陽表式の構築はパスカルの「数三角形」の目標であった。パスカルは細胞の陽表式をどうやって発見したのかを明確に示している。隣り合う2つの細胞の比例関係を帰納し、その比例関係を数学的帰納法で証明する。そして、その比例関係から陽表式を作っている。「ただ推測で得た」わけではない。どうしてポリアはこのように考えに陥ってしまったのだろうか。

ポリアは「数三角形」を読んだだろう。しかし、次のような注釈を重ねることによって、パスカルの展開を考慮しない結果になってしまったのではないだろうか。「あまり重要ではない細部は変更した」、「本質を損なわない程度の変更を加え」。これは数学的帰納法の実例として陽表式を取り上げるためだったが、結果は裏目に出てしまった。変更した細部は「とても重要」で、加えた変更は「本質を損なう」ものになってしまった。それは、パスカルが陽表式を発見する過程を見えなくしてしまったのである。

また一方、この変更は、陽表式の証明が数学的帰納法による証明の最初の実例という誤った歴史像を提出してしまった。パスカルが最初に数学的帰納法で証明したのは、三角形の底辺で隣り合う2つの細胞の比例関係である。陽表式についていえば、提出しただけで、数学的帰納法による証明は行っていないのである。

もう少し立ち入ってみよう。

回帰公式と陽表式

2018-12-03 | パスカルの三角形
ポリアはパスカルの数三角形を構成していく基本規則
 nCrn-1Cr-1n-1Cr
を回帰公式(recursion formula)と呼んでいる。ここでCは二項係数でもなく組み合わせでもなく細胞(Cell)と考えていただきたい。このnCrの数を求めるには、(n-1)底辺の隣り合う2つの数に、あともどりすることによって、間接的に計算される。
これに対して、数三角形を使わずに、行と列の数から細胞の数を求める公式
 nCr=n!/r!(n-r)!
を陽表式(explicit formula)と呼んでいる。行nと列rを代入することによって、nCrの数は直接的に計算される。

ポリアは『数学の問題の発見的解き方1』(柴垣和三雄・金山靖夫訳、みすず書房、1964年、新装版2017年)で、次のように述べている。
(引用はじめ)
回帰公式を使ってパスカルの三角形に含まれる数を計算するには、その前の底辺にある二つの数を前以って知っていて、それに頼らなければならない。そのような予備知識に頼らない計算方式があればよいと思われるであろう。よく知られた、二項係数の陽表式と呼ぶ公式
  (nr)=n(n-1)(n-2)・ ・・・ ・(n-r+1)/1・2・3・ ・・・ ・r
があって、これを用いればそのような独立の計算ができる。パスカルの論文にこの陽公式がふくまれている。(しかし、それはここに書いたような現代的記法ではなくて、言葉で述べられている)。
(引用おわり)
段落の途中で切ったが、「数三角形」において、パスカルはnCrの回帰公式から陽表式を導出したといえる。しかし、ポリアがこの後展開する「数三角形」論は、パスカルとはまったく違った世界である。それは数学的帰納法の歴史的な最初の素材を間違えている。また、それゆえ、nCrの回帰公式から陽表式への過程に空白が生じている。