対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

対称軸の数列とカタラン数

2020-01-16 | パスカルの三角形
トーナメント戦の総数や最短経路の数などを求めるときに出てくるカタラン数cn
cn=1/(n+1)・2nCn
で求められる。
ここで2nCnはパスカルの三角形の対称軸に並ぶ数列を表している。これを最初の部分を並べてみると、次のようになる。
1, 2, 6, 20, 70, 252, 924, 3432, 12870, 48620, …
これをそれぞれ
1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, …
で割ると、最初のカタラン数は次のようになる。
1, 1, 2, 5, 14, 42, 132, 429, 1430, 4862, …

カタラン数について調べてみよう。

三角形の対称軸にならぶ数列2

2020-01-15 | パスカルの三角形
三角形の対称軸にならぶ数列には次の関係が成り立っている。
nC02nC12nC22+……+nCn22nCn
これは
(1+x) n(1+x) n=(1+x) 2n
のxnの係数を比較することによつて導くことができる。
左辺(1+x) n(1+x) n
=(nC0nC1 x+nC2x2+……+nCnxn)(nC0nC1 x+nC2x2+……+nCnxn)

xnの係数は、
nC0nCnnC1nCn-1+……+nCrnCn-r+……+nCnnC0
となる。
ここで
nCrnCn-r
だから、xnの係数は、
nC02nC12nC22+……++nCn2
となる。
右辺の2nCnのxnの係数は公式そのまま
2nCn
である。
したがって、
nC02nC12nC22+……+nCn22nCn
縮めると、
k=0Σn(nCk)22nCn
となる。

エクセルには平方和の関数SUMSQ、組み合わせの関数COMBINがある。これを利用すると最初の数列は次のようになる。
1111111111
123456789
1361015212836
141020355684
15153570126
162156126252
172884924
18363432
1912870
11111111111111111111111111148620
12+92+362+842+1262+1262+842+362+92+12=48620

ツグミ(鶫)の由来

2020-01-13 | 庭に来る鳥
二階の部屋から柿の木が見える。実はまだついている。啄みに来る鳥を見るのは楽しみの一つである。ヒヨドリ、ムクドリ、スズメをよく見かける。これらの鳥は音に敏感で、窓を開けるとその音に反応して飛び立っていく。今朝は、ムクドリが数羽、来ていた。窓を開けると散らばっていったが、しばらくして柿の木を見ると、1羽の鳥が枝に止まっていた。明らかにムクドリではない。望遠してみるとツグミ(鶫)だった。

ツグミ(鶫)、冬鳥なので日本ではさえずらない。冬には鳴かない、口をつぐんでいるので、ツグミと呼ばれているのだという。漢字の鶫は国字で、春になると東に飛び去る鳥(柬+鳥)ということらしい。

パスカルの三角形と母関数5

2020-01-10 | パスカルの三角形
フィボナッチ数列の母関数をFとすれば、
F=f1+x2f2+x4f3+x6f4+……
となる。
fn=(1-x) -nだから、Fは次のようになる。
F=f1+x2f2+x4f3+x6f4+……
=(1-x) -1+x2(1-x) -2+x4(1-x) -3 +x6(1-x) -4+……
これは初項(1-x) -1、公比x2(1-x) -1の無限等比級数である。(母関数表わす冪(ベキ)級数は形式的な級数なので収束条件は考えなくてもいいのだという)。
F=(1-x) -1 / (1-x2(1-x) -1)
=1/((1-x)-x2)
=1/(1-x-x2)
これがフィボナッチ数列の母関数である。

F=1/(1-x-x2)
=1+x+2x2+3x3+5x4+8x5+13x6+……
0C01C0x+(2C01C1)x2+(3C02C1)x3+(4C03C12C2)x4+(5C04C13C2)x5+……+(nC0n-1C1n-2C2+……+n-[n/2]C[n/2])xn+……
まとめると、次のようになる。
F=1/(1-x-x2)=n=0ΣCnxn
ここでCn
Cnk=0Σ[n/2]n-kCk
である。

(注)
1/(1-x-x2)を内的に展開してn=0ΣCnxnを導く方法もあるようだが、複雑でよくわからない。ここでは、以前の記事(フィボナッチ数列の確認、フィボナッチ数列の一般項)の結果を外的に結びつけたものである。



パスカルの三角形と母関数4

2020-01-09 | パスカルの三角形
次のように並べたパスカルの三角形において、水平方向は母関数(1+x) nによつて、垂直方向は母関数(1-x) -nで統一的に見ることができた。


これをオリジナルの数3角形で確認してみよう。
1111111111
123456789
1361015212836
141020355684
15153570126
162156126
172884
1836
19
111111111111111111111111111111
これは将棋盤のように見えるので、駒の動きを援用しよう。水平方向の母関数(1+x) n(二項展開)の係数(1,11,121,1331,14641,……)は直角二等辺三角形の斜辺に並ぶ。この動きは角行の動きに見立てることができる(左下から右上の方向)。
垂直方向の母関数(1-x) -nの係数は、水平方向と垂直方向のどちらにも並んでいる。上からも左からも
f1 , f2 , f3 , f4 , …
が並んでいる。これは飛車の軌跡に見立てることができる。

フィボナッチ数列はこの将棋盤を桂馬跳びすることによって作られる。左側の単位数列の1から桂馬跳びしていく。例えば、赤色で示された1,5,6,1はフィボナッチ数列の7番目(左の単位数列の上から7番目に対応する)の項13になる。桂馬跳びだから上に2つ移動するときに右へ1つ移動する。右へ移動するときf2 , f3 , f4 , …を横切り、その項を取り込んでいく。上に2つ移動するから取り込む次の母関数の項の次数は2つずれる。
桂馬跳びによって取り込まれていく数は次のようになる。最上段(111…)は縦のf1である。2段目(123…)は縦の f2、3段目(136…)はf3である。フィボナッチ数列の最初は次のようになる。
1111111111
12345678
136101521
141020
15
11235813213455
111111111111111111111111111111
桂馬跳びで取り込む項は、次の母関数の次数を2つずらして、同次になった項と言いかえることができる。
フィボナッチ数列の母関数をFとすれば、
F=f1+x2f2+x4f3+x6f4+……
となる。
これを求めてみよう。


パスカルの三角形と母関数3

2020-01-08 | パスカルの三角形
縦に並ぶ数列の母関数は、一般にfn=(1-x) -nとなる。これを書き下してみよう。

f(x)=(1-x) -nをマクローリン展開する。f(0)=1
f '(x)=n(1-x) -n-1 f '(0)=n
f ''(x)=n(n+1)(1-x) -n-2  f ''(0)=n(n+1)
f(3)(x)=n(n+1)(n+2)(1-x) -n-3  f(3)(0)=n(n+1)(n+2)

f(k)(x)=n(n+1)…(n+k-1)(1-x) -n-k    f(k)(0)=n(n+1)…(n+k-1)

f(n)(x)=n(n+1)…(n+(n-1))(1-x) -n-n    f(n)(0)=n(n+1)…(n+(n-1))
したがつて、
(1-x) -n
=1+nx+1/2!・n(n+1)x2+1/3!・n(n+1)(n+2)x3 +……+1/n!・n(n+1)…(n+(n-1))xn
=1+nC1 x+n+1C2x2n+2C3x3+……+n+(n-1)Cnxn
縦に並ぶ数列の母関数の一般項は、
n+(k-1)Ckxk
であり、xの0次、1次、2次、3次、…の係数を見ると、
それぞれ、
単位数(1,1,1,…)、自然数(1,2,3,…)、三角数(1,3,6…)、四面体数(1,4,10,…)…
の係数の一般項を表していることがわかる。

また、fn=(1-x) -n
=1+nx+1/2!・n(n+1)x2+1/3!・n(n+1)(n+2)x3 +……
=1+nC1 x+n+1C2x2n+2C3x3+……
に、n=1,2,3,4,…を代入すると、
f1=(1-x) -1=1+x+x2+x3 +……
f2=(1-x) -2=1+2x+3x2+4x3 +…
f3=(1-x) -3=1+3x+6x2+10x3 +…
f4=(1-x) -4=1+4x+10x2+20x3 +…

となり、
縦に並ぶ数列は母関数(1-x) -nで統一的に把握できることがわかる。


このように並べたパスカルの三角形において、
水平方向は、母関数(1+x) nで統一的に見ることができる。
垂直方向は、母関数(1-x) -nで統一的に見ることができる。

対照しておこう。
(1+x) n
=1+nx+1/2!・n(n-1)x2+1/3!・n(n-1)(n-2)x3 +……
=1+nC1 x+nC2x2nC3x2+……
(1-x) -n
=1+nx+1/2!・n(n+1)x2+1/3!・n(n+1)(n+2)x3 +……
=1+nC1 x+n+1C2x2n+2C3x3+……

こんどは斜めに横切る(桂馬跳び)フィボナッチ数列の母関数をとりあげよう。

パスカルの三角形と母関数2

2020-01-07 | パスカルの三角形
単位数(1,1,1,…)を係数にもつ関数(母関数)は次のようになる。
1+x+x2+…+xn+…
これは初項1、公比x (|x|<1)の無限等比級数である。したがって、
1+x+x2+…+xn+…
=1/(1-x)
=(1-x) -1
これをf1としよう。

自然数(1,2,3,…)の数列は、単位数(1,1,1,…)の数列を1つずつ次数をずらしてたすことによって得られる。
1 1 1 1 1 1
  1 1 1 1 1
   1 1 1 1
     1 1 1 

1 2 3 4 5 
これを係数にもつ関数は次のようになる。
1+2x+3x2+…+nxn-1+…

これはf1を1つずつ次数をずらしてたすことによって得られる。
=f1+xf1+x2f1+…+xnf1+…
=(1+x+x2+…+xn+…)×f1
=f1×f1
=f12
=(1-x) -2
これをf2とする。

三角数(1,3,6…)の場合は、
1+3x+6x2+…+1/2・n(n-1)xn-2+…
となる。これはf2を1つずつ次数をずらしてたすことによって得られる。
=f2+xf2+x2f2+…+xnf2+…
=(1+x+x2+…+xn+…)×f2
=f1×f2
=(1-x) -3
=f3

縦に並ぶ数列の母関数は、一般にfn=(1-x) -nとなる。
こんどはf(x)=(1-x) -nをマクローリン展開して、係数を確認してみよう。


パスカルの三角形と母関数

2020-01-06 | パスカルの三角形
母関数とは、数列の項
a0, a1, a2,…, an
を係数とする整関数
a0+a1x+ a2x2+…+ an xn
のことである。

例えば、1,3,3,1の母関数は(1+x) 3である。

一般に、パスカルの三角形において水平方向に並ぶ数列
nC0 , nC1 , nC2 , … , nCn
の母関数は
(1+x) nで与えられる。これは二項展開そのものである。

パスカルの三角形を直角三角形の形に並べてみる(左側に傾け、左側を縦にそろえる)と、次のようになる。

ここで水平方は母関数(1+x) nで統一的に見ることができる。
垂直方向には、
単位数(1,1,1,…)、自然数(1,2,3,…)、三角数(1,3,6…)、四面体数(1,4,10,…)が並ぶが、これらの数列は
母関数(1-x) -nで統一的に見ることができるという。これを確かめてみよう。