対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

イロハモミジ、紅葉のはじまり

2020-11-16 | 庭の草木
 イロハモミジが色づいてきている。近づいてみると、紅葉が始まったばかりだった。

 イロハモミジ(いろは紅葉)の名は、手のひらのように裂ける葉の裂片(指)を、いろはにほへと……数えたことに由来するという。色づいた指が、い、いろ、いろは、いろはに、ほとんどが青いままである。紅葉は始まったばかりである。色も鮮やかとはいいがたい。

日差しと茶の花と蜜蜂と

2020-11-13 | 庭の草木
 いま庭に咲いているのは茶の花である。すでに散っているのもある。花を撮りに行ったら、蜜蜂の羽音が聞こえてきて、いっしょに撮ろうと思った。茶の花は下向きに咲く。中腰になって、羽音を追い、花に止まるのを待つ。なかなかピントが合わない。腿の筋肉が緊張してくる。いい運動になった。

 蜜蜂の脚についている黄色いものは「花粉だんご」といって、体に付着した花粉が丸められたものである。映像を見ていて興味をもった。蜜蜂と止まっている花に日が当たっていて、下の葉に蜂の影が映っている。触覚もはっきり見える。

「論理的なもの」の表出論3

2020-11-12 | 自己表出と指示表出
 ケストラーの創造活動の理論「バイソシエーション」(二元結合)を説明するために認識の構造として自己表出と指示表出を導入した。これが最初である。許萬元の『弁証法の理論』を検討していく中で、バイソシエーションのモデル(複素過程論)は弁証法と重なるのではないかと思われた。許萬元によれば弁証法は「論理的なものの三側面」に集約される。「認識」を「論理的なもの」に置き換えた。そして「論理的なもの」の構造として自己表出と指示表出を想定して、弁証法の理論を展開しようと試みたのである。
 弁証法の起源は「対話」にある。しかし、「対話」は「論理的なものの三側面」に欠如しているように思えた。参考にした上山春平(認識における対立物の統一)、中埜肇(対話をモデルとした思考方法)にも「対話」はないように思えた。
 対話のモデルを作った。価値形態論の2つの「商品」(リンネルと上着)の価値関係と交換関係を基礎にした。吉本隆明は「言語」と「商品」の対応を指摘し、自己表出と指示表出を価値と使用価値に対応させていた。「論理的なもの」の自己表出と指示表出の関係に「商品」の価値と使用価値を応用できないかと考えたのである。そして、2つの「論理的なもの」が1つの「論理的なもの」に変換されていく過程を「複合論」(ひらがな弁証法)として提起した。(「ひらがな弁証法」)

「論理的なもの」の表出論2

2020-11-11 | 自己表出と指示表出
 「論理的なもの」の2つの契機として自己表出と指示表出を想定している。これは吉本隆明の言語の構造(自己表出と指示表出)を基礎にしているが、内容はかなり違っている。
 「論理的なもの」は『小論理学』(ヘーゲル)の「論理的なものの三側面」の「論理的なもの」と対応させている。ヘーゲルの三側面はそのまま三段階論となっている。ヘーゲルの三側面に対して二側面(自己表出と指示表出)を対置し、悟性―否定的理性―肯定的理性という三段階論に対して、「悟性―理性……理性―悟性」という三段階論を対置している。自己表出は理性的側面と対応させている。指示表出は悟性的側面と対応させている。そして「悟性―理性……理性―悟性」の過程に「論理的なもの」の推移をみている。
 「論理的なもの」、「自己表出と指示表出」、「理性と悟性」をアインシュタインの思考モデル(1952年)に投影してみよう。E(直接の経験)、A(公理系)、S(命題)、J(思考の飛躍)である。

この図の背景には「ある時代の言語の言語水準」(『言語にとって美とはなにか』吉本隆明)があると考えている。

虚指数と正接 vs 虚対数と逆正接

2020-11-10 | 指数と対数
 指数関数と対数、三角関数と逆三角関数は、それぞれ逆関数である。オイラーは『オイラーの無限解析』§138で「虚指数量が実の正弦と余弦に帰着される」ことを導いた。これはド・モアブルの公式(n倍角の公式)と指数の冪表示を用いて導出された。また、§139と§140で「虚対数が円弧に帰着される」ことを導いた。これはド・モアブルの公式(1/n倍角の公式)と対数の冪表示を用いて導出された。
 ここでは三角関数のうち正接だけに限定して、虚指数と正接関数の関係から、虚対数と逆正接関数の関係を導いておこう。いいかえれば、§138と139・140を逆関数の視点から繋いでみよう。
 虚指数と余弦・正弦の関係は、
  
だった。これから、虚指数と正接の関係は次のようになる。
  
 ここで
  
とおいて、について解いていくと次のようになる。
  
 ここで底eの対数をとると、
    
となる。z=tan xだから、
    
である。

 高木貞治『解析概論』§54参照

グレゴリーの級数を導く

2020-11-09 | 指数と対数
オイラーは「虚対数が円弧に帰着される様式」を導いた。
  
ここで、真数部分をcos zで割ると、弧zを正接を用いて、表示できる。
      (1)
ところで、「自然対数の値を効率よく求める」で見たように、
  
だった。ここで、x=itan z とおくと、
  
したがって、(1)式は
  
となる。ここでtan z=tとおくと、z=arc tan tとなる。
  
これでグレゴリーの級数が導出できた。t=1のとき、弧zはπ/4の弧に等しい。
  
これがライプニッツの級数である。

色づくみかん

2020-11-06 | 庭の草木
 今年は「表」の年で、果実がたくさんなっている。果実を付けた枝が垂れ下がって地面に着くので、しばらく前から支柱をいくつか立てている。
 ずいぶんと色づいてきた。だんだんと濃くなってきている。色の変化は紅葉と同じで、緑色のクロロフィルが、気温が下がると分解され、黄色のカロテノイドに変わることによって生じるのだという。

「虚対数が円弧に帰着」を導く

2020-11-05 | 指数と対数
 余弦(左辺=1、右辺=対数の和)の方は、対数部分は、
  
となり、対数部分が消失し、全体は1=1となる。この式からは何も生まれない。
 これに対して、正弦(左辺=z/n、右辺=対数の差)の方は、対数部分は
  
となり、全体は
  
となる。オイラーはこのように「虚対数が円弧に帰着される様式」(1702年、ヨハン・ベルヌーイの式)を導いている。

「発見的推論の方法」は左辺に

2020-11-03 | 指数と対数
 「虚指数」のときはn倍角の公式
  
の右辺に「発見的推論の方法」を使った。すなわちnz=xとおいて、z=x/n→0より、cos x/n=1、sin x/n=x/nとおいて、指数の冪表示と関連づけた。
 これに対して、「虚対数」のときは、1/n倍角の公式
  
の左辺に「発見的推論の方法」を使っている。すなわち、そのまま、cos z/n=1、 sin z/n=z/nとおいて、
  
として、右辺の分子を対数の冪表示と関連づける。