子供の頃、食卓テーブルの上には必ずお漬物があった。
祖母が漬ける糠漬けがいつもあった。
沖縄には糠で漬ける習慣はない。スーパーでも糠漬けは売られていない。
子供の頃、あれほど嫌いだったキュウリやナスの糠漬けが無性に
食べたくなることがある。糠は売っているので糠床を作ったことがある。
ある程度糠が馴染んでくると、そこからは猛ダッシュで駆け抜けるように
発酵してくる。2〜3日でキュウリの色は黄色になって古漬けとなる。
糠床は冷蔵庫に入れておかないと発酵するスピードが早すぎて
ダメになってしまう。
「糠床を守る」「糠床を育てる」という昔の人は表現する意味がわかる。
朝、夕と糠を手でかき混ぜて休むこともできない。
結局はすぐにダメにしてしまう。
祖母の大変さが今になってわかる。
沖縄にも漬物はある。市場があった頃は3時になると市場のオバァたちは
テレビの前に集まってお茶を飲む。そのときに茶うけとして小皿に
お漬物が出てくる。「ジーヂキ」と呼ばれる沖縄の漬物。
大根を適当な大きさに切って塩をまぶして2日間ほど重石をかける。
ザルにとって半日ほど干して黒砂糖で漬け込んだもの。
年寄りのお茶うけで、今では見なくなった。