きみだんごの日記帳

日記帳の形を借りて、創作活動の成果を発表していきたいと思います。
荒井公康

現象と要因(構成的実験の限界)

2023-03-24 17:14:09 | 日記

自然現象はさまざまな要因が相互作用を通して複雑に絡み合って生ずるものであるが、現象それ自体を把握することはそれほど困難ではない。難しいのは要因から現象を説明することにある。要因間に相互作用があるのが一般であるので、現象を要因の関数で表すと非線形多変量関数になる。ところで、考察の対象となる現象の特定の要因のみを選び出して研究を進めるというのが構成的実験の方法である。このとき、実験条件は人為的にコントロールされ、単純化ないし理想化される。また、要因間の相互作用は無視され、要因の働きは独立であると仮定される。しかし、この方法が有効なのは、単純な現象に限られるのである。物理学が対象とする現象は比較的単純であり、構成的実験の方法は有効であったが、物理学の成功にならって、その方法を他の分野に応用しても有効ではなかった。これは、物理学以外の分野では、要因間の独立性の確保が難しく、要因間の相互作用ないし相互依存により、扱う現象が複雑になるためである。学問の方法は、なにも構成的実験のような、物理学に倣うばかりに限られないと思う。例えば、実験計画法などのようなものにも、非物理学的な発想が含まれていると思う。要因の効果を主効果以外に交互作用にも求めるなど、要因間の相互作用に配慮している点などである。科学的発想には、物理学以外の発想が含まれていてもよいと思う。

 

荒井公康



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