富裕層・大企業に応分の負担とは① 証券優遇税制 高額取引には3割課税
日本共産党は「社会保障充実と財政危機打開の提言」で、小泉内閣以来の「構造改革」路線で大きく壊された社会保障を再生させる「社会保障再生計画」の実行にただちに着手することを提起しました。そのための財源の一つとして、富裕層・大企業に応分の負担を求めると述べています。富裕層と大企業を優遇する不公平税制の実態と、応分の負担について見ていきます。(清水渡)。
所得階層別の税負担割合をみると、年間所得が1億円を超える高額所得者は、所得が増えれば増えるほど所得に対する税負担割合が減る傾向があります。その大きな要因は証券優遇税制です。高額所得者ほど給与所得より株の売買や配当による所得が増えるからです。
■10%に半減
配当や株式譲渡益にかかる税は本来の税率が20%のところを、現在10%に半減されています。これは自民・公明政権によって2003年に導入されました。03年から07年までの期間限定でしたが、延長を繰り返し、現在は13年末まで期限を延長されています。
この優遇税制によって、03年から11年までに推計6兆379億円が減税されました。配当と譲渡益が多額だった07年には1兆4000億円にも上ります。株価が下落した現状でも5000億円程度も減税されています。
給与所得や事業所得であれば、国と地方の所得課税(所得税、住民税)を合わせると税率は15~50%になります。汗水たらして働いて手にする所得にかかる税金より、ぬれ手で粟(あわ)の配当や株式譲渡益にかかる税金の方が軽いことになります。
政府は証券優遇税制の延長について、「景気回復に万全を期すため」などと説明します。しかし、10日の衆院予算委員会基本的質疑で、日本共産党・志位和夫委員長が「証券優遇税制を延長することが景気とどうして関係するのか」とただしたのに対し、野田佳彦首相はまともに答弁できませんでした。
■減税数億円
各企業の有価証券報告書から証券優遇税制導入後(03年4月~11年10月)の減税額を試算すると、トヨタ自動車の豊田章男社長は2億7000万円、京セラの稲森和夫名誉会長は5億9000万円、セブン&アイホールディングスの伊藤雅俊名誉会長は8億3000万円、ブリヂストンの石橋寛監査役は4億9000万円もの減税を受けている計算になります。
証券税制は国によって異なりますが、ドイツでは分離課税(26.375%)と総合課税(15~47.45%)の選択制です。
また、イギリスでは配当に対して10%、32.5%、42.5%の段階的課税です。譲渡益に対しても18%と28%の段階的課税です。アメリカでは、0%、15%の段階的課税 ですが、住民税(ニュー一ヨーク市では最高12.8%)が加わります。さらにオバマ大統領は証券課税への増税を提案しています。
日本共産党は、優遇税制をただちに廃止するとともに、高額の配当や株取引には30%を課税することで、6000億~1兆7000億円程度の財源が捻出されると見込んでいます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年2月22日付掲載
さすがに2008年のリーマンショック後は株式の利ザヤで稼いだ分への減税額は減っていますが、株式配当は一定の額を維持し続けています。
大企業は、儲けが減っても、利ザヤで稼げなくっても、投資家へは確実に還元しているのです。
株式などに投資するだけの余裕のある人から税金を取ることは一般市民感覚として当然の事ではないでしょうか。
なけなしの預金の金利からも2割の税金が引かれているのですから。濡れ手で粟(あわ)の株式で儲けた金から3割取っても、だれも文句は言わないでしょう。
日本共産党は「社会保障充実と財政危機打開の提言」で、小泉内閣以来の「構造改革」路線で大きく壊された社会保障を再生させる「社会保障再生計画」の実行にただちに着手することを提起しました。そのための財源の一つとして、富裕層・大企業に応分の負担を求めると述べています。富裕層と大企業を優遇する不公平税制の実態と、応分の負担について見ていきます。(清水渡)。
所得階層別の税負担割合をみると、年間所得が1億円を超える高額所得者は、所得が増えれば増えるほど所得に対する税負担割合が減る傾向があります。その大きな要因は証券優遇税制です。高額所得者ほど給与所得より株の売買や配当による所得が増えるからです。
■10%に半減
配当や株式譲渡益にかかる税は本来の税率が20%のところを、現在10%に半減されています。これは自民・公明政権によって2003年に導入されました。03年から07年までの期間限定でしたが、延長を繰り返し、現在は13年末まで期限を延長されています。
この優遇税制によって、03年から11年までに推計6兆379億円が減税されました。配当と譲渡益が多額だった07年には1兆4000億円にも上ります。株価が下落した現状でも5000億円程度も減税されています。
給与所得や事業所得であれば、国と地方の所得課税(所得税、住民税)を合わせると税率は15~50%になります。汗水たらして働いて手にする所得にかかる税金より、ぬれ手で粟(あわ)の配当や株式譲渡益にかかる税金の方が軽いことになります。
政府は証券優遇税制の延長について、「景気回復に万全を期すため」などと説明します。しかし、10日の衆院予算委員会基本的質疑で、日本共産党・志位和夫委員長が「証券優遇税制を延長することが景気とどうして関係するのか」とただしたのに対し、野田佳彦首相はまともに答弁できませんでした。
■減税数億円
各企業の有価証券報告書から証券優遇税制導入後(03年4月~11年10月)の減税額を試算すると、トヨタ自動車の豊田章男社長は2億7000万円、京セラの稲森和夫名誉会長は5億9000万円、セブン&アイホールディングスの伊藤雅俊名誉会長は8億3000万円、ブリヂストンの石橋寛監査役は4億9000万円もの減税を受けている計算になります。
証券税制は国によって異なりますが、ドイツでは分離課税(26.375%)と総合課税(15~47.45%)の選択制です。
また、イギリスでは配当に対して10%、32.5%、42.5%の段階的課税です。譲渡益に対しても18%と28%の段階的課税です。アメリカでは、0%、15%の段階的課税 ですが、住民税(ニュー一ヨーク市では最高12.8%)が加わります。さらにオバマ大統領は証券課税への増税を提案しています。
日本共産党は、優遇税制をただちに廃止するとともに、高額の配当や株取引には30%を課税することで、6000億~1兆7000億円程度の財源が捻出されると見込んでいます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年2月22日付掲載
さすがに2008年のリーマンショック後は株式の利ザヤで稼いだ分への減税額は減っていますが、株式配当は一定の額を維持し続けています。
大企業は、儲けが減っても、利ザヤで稼げなくっても、投資家へは確実に還元しているのです。
株式などに投資するだけの余裕のある人から税金を取ることは一般市民感覚として当然の事ではないでしょうか。
なけなしの預金の金利からも2割の税金が引かれているのですから。濡れ手で粟(あわ)の株式で儲けた金から3割取っても、だれも文句は言わないでしょう。