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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

竜宮の玉手箱 はやぶさ2 砂の物語③ 生命の材料 宇宙から!?

2023-05-03 07:03:06 | 科学だいすき
竜宮の玉手箱 はやぶさ2 砂の物語③ 生命の材料 宇宙から!?

小惑星リュウグウの粒子から見つかった有機物は、なんと2万種類。その中にはたんぱく質の元となるアミノ酸も検出されました。分析チームを率いた奈良岡浩九州大学教授は「有機化合物が宇宙空間で行き交っていることを示している」と強調。ベールに包まれていた生命起源と宇宙とのつながりが見えてきました。

多数の有機物が
奈良岡さんらは、溶媒などに溶けやすい有機物を詳しく分析。「これほどの有機分子が見つかるとは思っていなかった」と驚きました。
アミノ酸には、構造が鏡に映したように対称な左手型と右手型が存在しますが、地球の生物が利用するアミノ酸はほとんど左手型です。これまで隕石(いんせき)から検出されたアミノ酸については、一部に左手型の方が多いという報告があり、リュウグウ粒子ではどうか、注目されていました。



リュウグウ試料から見つかった有機分子のイメージ図(©JAXAなど)

分析の結果、アラニンなど地球生命が利用するたんぱく性アミノ酸や、イソバリンなど非たんぱく性アミノ酸計23種類を検出。構造を調べたところ、左右ほぼ等量でした。
奈良岡さんは「(等量だったことは)アミノ酸がリュウグウの元となった母天体の中で、水と岩石成分が反応してできたことを示す」と説明します。
一方、広島大学の薮田ひかる教授らのチームは、粒子を酸で溶かすなどして、固体有機物だけを抽出して分析。石炭のように黒く、さまざまな分子が無秩序に結合した高分子で、形状や化学組成は多様でした。
こうした固体有機物もリュウグウ母天体内で生成されたことを示すものだと薮田さん。液体の水と鉱物、有機物との化学反応によって「新たな有機物が合成されたり分解されたりする反応を繰り返すことで分子の種類や形状、構造を多様化させたと考えられる」と話します。

【化学進化】
水やアンモニア、一酸化炭素などの無機物からアミノ酸や核酸などの有機化合物が合成され、最初の生命が誕生するまでの過程。

「左手型」のなぞ
地球の生命起源をめぐっては、アミノ酸など生体に関連する有機化合物が宇宙空間で生成され隕石などによって地球にもたらされたという説があります。
薮田さんは「(リュウグウには)地球生命が持つ有機物と異なった分子も含まれている。生命誕生に至る化学進化の最初の出発として、有機物が宇宙から地球にもたらされたことを示している」と指摘します。
地球の生命が左手型のアミノ酸のみを利用する謎について奈良岡さんはこう述べます。「リュウグウには地球生命が用いるものもあるし、そうでないものもある。その中からなぜ左手型を選び出したのか、探していかなければならないピース(欠片)だ」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年5月1日付掲載


アミノ酸には、構造が鏡に映したように対称な左手型と右手型が存在しますが、地球の生物が利用するアミノ酸はほとんど左手型。
リュウグウで見つかった有機物。分析の結果、アラニンなど地球生命が利用するたんぱく性アミノ酸や、イソバリンなど非たんぱく性アミノ酸計23種類を検出。構造を調べたところ、左右ほぼ等量。
リュウグウには地球生命が用いるものもあるし、そうでないものも。その中からなぜ左手型を選び出したのか、探していかなければならないピース(欠片)。
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