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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

命救う住まい(上) DVから逃れ心身も安定 兵庫・尼崎 住環境支援事業

2024-07-20 07:55:02 | 政治・社会問題について
命救う住まい(上) DVから逃れ心身も安定 兵庫・尼崎 住環境支援事業

貧困が広がるなか「居住の権利」が脅かされる人たちが増えています。困窮者支援として、自治会支援として、専門家や支援団体から注目を集めている兵庫県尼崎市の事業「REHUL(リーフル)」。スタートから3年目を迎えました。



「ここがなかったら逃げられなかった。思い切って連絡して、本当によかった」
夫のDV(家庭内暴力)から逃れ、他県から引っ越してきた40代の女性は穏やかな表信で語ります。尼崎市の市営団地の一室で生活しています。
夫の暴力と支配は長年続きました。抜け出す方法が分からないまま、耐えるだけ。人生を取り戻すきっかけは、同市の住環境支援事業「リーフル」を紹介する報道でした。
女性は「わらをもつかむ思い」で電話をかけました。「リーフル」経由で住まいはすぐに見つかりました。リーフル事務局の担当者は同時に、DV被害者の支援団体に協力を求めました。
今、子どもたちは市内の学校に通い、女性は心身の安定を取り戻しつつあります。団地の高齢者とも日常的に言葉を交わします。「これ、食べて」。おすそわけをもらい、お互いの健康も気にかけ合います。



「リーフル」事業で貸し出している市営団地の一室。母子の居場所事業にも活用されています=兵庫県尼崎市

市営住宅安価で
「リーフル」は、市と生活協同組合「コープこうべ」が連携し、2022年4月、始まりました。建て替え予定で、新規入居を停止した市営住宅を安価で提供する事業です。「コープこうべ」が窓口になり、ネットワークに参加する支援団体に空き家を貸し出します。3月末現在、20団体に約50戸を提供しています。
市が団体へ貸し出す使用料は1戸あたり月6500円。修繕費などは団体持ちです。居住者は団体に利用料を支払います。
ひとり親、DV被害者、障害者、外国人、ホームレスの人たち…。団体が支援する人は多岐にわたります。利用料は団体により異なりますが、月1万~3万円。「営利目的にならない範囲」(市担当者)にとどめています。
市が「リーフル」を始めた背景には、別の事情もありました。
都市整備局住宅部住宅管理担当の秋岡修司課長は「10年前からの募集停止で新しい人が入らなくなり、入居者の高齢化が進み、草刈りや清掃、団地の管理維持も難しくなっていた」と振り返ります。1人あたりの自治会費や共益費の負担も重くなるばかりでした。
「リーフル」を始めたことで入居者が増え、年齢も多様に。祭りやもちつきなどのイベントが復活した自治会もあります。
「リーフル」を利用する一般社団法人「オフィスひと房の葡萄」の赤井郁夫代表理事は「本当に助かっている」といいます。子どもの居場所、若者の自立支援シェアハウスなどを手がけています。活動資金は寄付頼み。家賃を抑えることで、支援の幅は「ぐっと広がった」と話します。

支援団体の悩み
「リーフル」の立ち上げから中心を担う「コープこうべ」の前田裕保・第1地区本部本部長は、住宅困窮者に提供できる部屋が圧倒的に足らず、多くの支援団体が悩んでいることを知っていました。
「困っている人に、いかに迅速に住まいを提供できるか。『即、入居』が命を救う。同時に部屋を貸して終わりではなく、継続した支援を地域につなぐ。
この事業が“住まい”のあり方を考える先導になればと思います」
次回は、国の脆弱(ぜいじゃく)な住宅政策や事業の課題について、追手門学院大学の葛西リサ准教授の話を紹介します。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年7月18日付掲載


女性は「わらをもつかむ思い」で電話をかけました。「リーフル」経由で住まいはすぐに見つかりました。リーフル事務局の担当者は同時に、DV被害者の支援団体に協力を求めました。
今、子どもたちは市内の学校に通い、女性は心身の安定を取り戻しつつあります。
「リーフル」は、市と生活協同組合「コープこうべ」が連携し、2022年4月、始まりました。建て替え予定で、新規入居を停止した市営住宅を安価で提供する事業。
「リーフル」を始めたことで入居者が増え、年齢も多様に。祭りやもちつきなどのイベントが復活した自治会も。「リーフル」を利用する一般社団法人「オフィスひと房の葡萄」の赤井郁夫代表理事は「本当に助かっている」といいます。
「困っている人に、いかに迅速に住まいを提供できるか。『即、入居』が命を救う。同時に部屋を貸して終わりではなく、継続した支援を地域につなぐ。


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