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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

最低賃金の焦点(中) 引き上げが失業者減に

2024-05-25 08:04:53 | 働く権利・賃金・雇用問題について
最低賃金の焦点(中) 引き上げが失業者減に

山縣宏寿・専修大学准教授に聞く

最低賃金引き上げをめぐる議論では、最賃が上がれば「失業者が増える」「雇用が減る」といった主張が根強く出されます。
そこで、リーマン・ショックが一段落した2011年を起点にして19年までの間に上がった最賃額の累積増加額と、失業者の増減についての相関関係を調べました。グラフは、横軸に累積増加額をおき、右にすすむほど5円、10円と最賃額が上がります。縦軸は、失業者数の増減で、ゼロ以下は失業者の減少を示します。




負の相関関係に
このグラフからわかることは、最賃の増加額が増えていくと、むしろ失業者が減っているということです。この期間の相関係数はマイナス0・78と、やはり強い負の相関関係があります。
また、15~19年、17~19年と、それぞれの間で最賃の累積増加額と失業者も調べましたが、最賃が上がっている地域ほど、失業者は減っていました。15~19年の相関係数は0・63、17~19年は0・57となっています。これは重要な事実だと思います。
一方で、この間の雇用増は、正規雇用の増加もありますが、約3分の2が非正規雇用です。また年収100万円以下という給与所得者も約393万人から456万人に増加しています。日本社会全体でみると、間違いなく富は生み出されているのですが、それをどう分配するかが間われています。
日本では全企業の99・7%が中小企業ですが、社会の中で生み出された富の多くが、大企業の内部留保として500兆円以上たまっています。設備投資や研究開発にも使われず、配当もされず、賃金にも回らない。社会のなかで生み出された富が、大企業と中小企業の間できちんと分配されれば、多少最賃が上がったとしても、中小企業がそんなに困るはずがないのです。

分配関係の改善
しかし日本では、重層下請け構造や優越的地位の乱用などにより、中小企業に利益が分配されない構造があります。そこを是正することで、最賃が上がっても、その分の人件費増をまかなえるという大企業と中小企業の富の分配関係にしていくことが重要です。
こういう構造になれば、最賃が上がっても失業者が増えるということもおさえられるだろうと思います。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年5月23日付掲載


このグラフからわかることは、最賃の増加額が増えていくと、むしろ失業者が減っているということ。
一方で、この間の雇用増は、正規雇用の増加もありますが、約3分の2が非正規雇用。
日本社会全体でみると、間違いなく富は生み出されているのですが、それをどう分配するかが間われています。
最賃が上がっても、その分の人件費増をまかなえるという大企業と中小企業の富の分配関係にしていくことが重要。

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