台風が居なくなってもなかなかすっきりとした空模様にならない今秋。
上野の森美術館へ。
「長坂真護展-Still A BLACK STAR-」。
会期は9月10日~11月6日。
長坂は廃材でアートを作り続ける美術家。
長坂の経歴は異色だ。
歌舞伎町でNo.1ホストだった。
ホスト時代に1年で稼いだ金でアパレル会社を立ち上げ1年で負債を抱えて倒産。以前から好きだった絵を描くことを決意し路上の絵描きになったのは24歳。
そんな長坂は、たまたま経済誌で目にしたゴミ山の前にぽつんとたたずむ子供の写真を見て、先進国が廃棄した電子機器の墓場が発展途上国に多く存在することを知った。
そして、電子ゴミを燃やすことで得られる金属を売ることで生計を立てざるを得ず、廃棄物に含まれる有害物質に蝕まれ若くして命を落とす人々を知った。
2017年に実際にアフリカはガーナの首都・アクラのアグボグブロジーのスラム街を訪れて、強烈な衝撃を受けた長坂は、以後、アートの力でこの真実と向き合う決意をしたという。
長坂と一緒に電子機器の墓場に踏み込んで行く。
私は自分ではずいぶんと気を付けてゴミ処理をしているつもりだ。
つもりだけど・・・
パソコンやらスマホやらの電子機器の最期を最後まで見届けているわけではない。
長野の家の父と母が溜め込んだゴミの大半は市の施設へ持ち込んで目の前で処理されていくのがわかるけど、電子機器は受け入れてもらえない。回収を義務付けられた業者に頼むしかない。その業者がどこに下請けに出してその下請けが更にどこに孫請けに出してその先はまではわからないのだ。
そして健康的で文化的な暮らしを更に快適にするためのスクラップアンドビルドには大量の廃棄物が出るということを忘れているのだ。
そして何もガーナばかりではない。
自国だって風光明媚で穏やかな海岸でも足元を見ればゴミだらけ。
人間ってどうしようもない。
でも長坂は希望を捨てずに挑んでいく。
お金を稼ぐアート。
大きな月が輝く。