「ダイナスティ 企業の繁栄と衰亡の命運を分けるものとは」デビッド・S・ランデス
華麗なる一族の内幕をチラッと垣間見られるんかい?と期待。
銀行業界からは、ベアリング家、ロスチャイルド家、モルガン家
自動車業界からは、フォード家、アニェッリ家(フィアット)、プジョー、ルノー、シトロエン、トヨタ
天然資源業界からは、ロックフェラー家、グッゲンハイム家、シュルンベルジェ社、ウェンデル家
聞いたこと有る名前の数々。
美術館やら財団やらは知名度高いしな~。
要領よく駆け足で一族の歴史を知る。
一代目の執念、熱意、手腕。
時に常識ハズレ、エキセントリック、超吝嗇だったりする面白さ。
二代目の責任。
三代目の不安。
そして、一族以外から人材を求めるかどうか?
財を成す上での、勤勉さとあくどさ。
権力に対する立ち回り。
危機の乗越え方。
一族の結束と亀裂。
うぬぼれと挫折。
ベアリング家の紆余曲折と落とし穴。
ロスチャイルド家の人脈と子沢山。
モルガン家の巧みなパートナーシップ。
耐えられない程の長時間労働と超高額な給与。
フォード家の大混乱。
創始者の暴走、息子へのプレッシャー、孫との不和。
ロックフェラー家の徹底した節約ぶり。
チーズは、一日ひと切れのみ!
ふた切れ食べた事がバレると、一日中、お説教。
チーズ持つ手が震えますがな…
トラウマ覚悟?の教育法。。。
グッゲンハイム家の先見の明と決断力。
などなど。
その他にも引用される一族や、比べられる企業も多く、
興味深いエピソードやゴシップ的なネタも含め楽しめる。
しか~し、か弱い記憶力のせいで。
どのエピソードがどの一族だったっけ?な状態!!
(って私だけか?)
これじゃあ、小ネタにして知ったかぶりも出来ないぜぃ。
『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』(2005年)
全米第7位の巨大企業が数週間で倒産。
素朴な疑問…何やらかしたの?
未来の収入見込みを、現時点で上乗せしちゃうという…
そんなん有りなんや?
だったらいくらでも、数字挙げられそうだけど。
真実味に乏しい、とかって誰かから突っ込まれたりしないんかい?
突っ込むはずの人たちもグルだってば!!
ってそれ、詐欺じゃーん!!
というお粗末な話。
一部の幹部の暴走と巧みな経理。
損失は全部、傘下の会社に移してごまかすという仕組み。
更に会計事務所や顧問法律事務所に多額の手数料を支払う事で、
余計な突っ込みを入れさせないという手法。
愕然とするのが、社員に自社株購入を奨励。
でもって、幹部達は経営難がバレる前にさっさと持ち株を売却。
更にショックなのが。
カリフォルニアに対する、余りにも酷いやり方。
電力配給を秘かに少なくし、電気不足に見せかけて、電気料を上げる…
電気料が上がれば上がる程、株価が上がり、会社は大もうけ。
こんな事が許されるんすか?
許されるんですねぇ。
なんせ、当時のブッシュ大統領一家と仲が良いもんで。
怖いもの無しなエンロン会長。
当時のカリフォルニア知事が気の毒過ぎる…
自覚の無さ、傲慢、責任感の欠如。
思わず『自覚なき殺戮者』を思い出してしまいました。。。
有りえへんわ~。
結局は、刑期を務める事になった元幹部たち。
振り返ってみて、どこでやり直したいか、聞いてみたい…
『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』(2005年)
監督:アレックス・ギブニー、製作総指揮:マーク・キューバン、ジョアナ・ヴィセンテ、トッド・ワグナー
ナレーション:ピーター・コヨーテ
『カンパニー・メン』(2010年)
リストラされた会社員たちのそれぞれの、その後。
それなりのポストにいる人々中心の話。
かなりいい暮らしをしている為、たちまち支払い不能になってしまう悲劇。
生活そのものが、いかにローンで成り立ってるかハッとする哀しさ。
こういう時に、良妻賢母は非常に有りがたや、
って妙なプレッシャーを与える映画な気もするが。
不況の中で、苦戦する再就職。
安い給料で、文句言わずに人の2倍働く人を求める企業。
大量リストラで会社の株が上がるってのも変なの。
社員が居ないと会社は成り立たないと思ってたけどねぇ?
役員は平社員の700倍の給料。。。
手放そうとしない会社に飾ってある絵画コレクション。。。
企業のやってる事は謎ですな。
ま、700倍の給料貰えるんなら、何でもやっちゃうかぁ~
株価上げるためだったら、何だって有りか。。。
かなり一部の人に絞って描かれてますし。
あまり感情移入出来ないとこもありますが。
これはこれで、といった映画。
『カンパニー・メン』(2010年)
監督:ジョン・ウェルズ、脚本:ジョン・ウェルズ、音楽:アーロン・ジグマン
出演:ベン・アフレック、クリス・クーパー、ケヴィン・コスナー、マリア・ベロ、ローズマリー・デウィット、
クレイグ・T・ネルソン、トミー・リー・ジョーンズ
“しかし、今後アメリカ人が、自分たちの幸福や満足のために
これからもずっと物やサービスの高い経済成長が続いていく必要はないのだということに気づいて、
より少ない物やサービスで満足できる大人になっていく、という可能性はあると思います。
いまのような経済活動を維持していくには大規模な官僚機構が不可欠であり、結果的には
我々は彼らの清廉さや有能さに大きく依存することになってしまいます。しかし我々は
ここしばらくのあいだの出来事で、清廉さはあまり期待できないことを学びました。
いまのままでは我々は権力を握っている人間に対して、とてつもない無能さと、とてつもない報酬を
許さざるを得ないことになり、それは、いまのところまだ解決されていない非常に大きな問題だと思います。
それは法律にまったく触れないので、私はそれを合法的な詐欺と呼びたいと思います。”
byジョン・ケネス・ガルブレイス「希望─行動する人々」スタッズ・ターケル