信州の鹿教湯温泉へ行きました。
こちらは上田より約1時間ぐらい南にある山間の国民保養温泉地で、古くから湯治場として親しまれてきた地域です。当館の女将が住み込みで修業していた温泉地でもあります。
このたびこの地で料理が評判を呼び、旅行雑誌によく紹介されている話題の宿「三水館」に宿泊しました。
三水館ホームページ
高品質な食材にこだわりながらも、あえて穏やかな表情に仕上げた家庭風料理のオリジナリティと、移築古民家を骨格とし欧風のテイストを加えた優しい田舎の陰影空間には、静かで豊かな時間が流れてており、オーナーの宿に対する哲学を感じさせるものです。
PRが先行したなんちゃって風の露天風呂付客室の旅館が増える中、この宿の真摯な取り組みは旅慣れた旅行者を魅了しており、滞在中、10回もリピートしている関西のお客様にもお会いました。予約の取れない宿になりつつあるようです。
また、無駄を潔く省いた引き算と宿の「人柄」の強調により宿の個性を分かりやすくしています。新築でありながら露天風呂はあえて部屋に設けず、ミニキッチンや床暖房設備などの快適要素はきっちりつけるなど、オーナーの考えるくつろぎのコンセプトに合わせたメリハリの利いた宿づくりの結果、同価格クラスの旅館に較べて芯がしっかりしており魅力的に見えます。
そんな魅力的な旅館を作り上げたオーナーの滝沢様には改築の経緯や宿泊業界の将来についていろいろとお話をお伺いすることができました。この宿を作るにあたっては、1万円台の宿を計画していながら、由布院の名旅館、山中温泉のかよう亭、修善寺のあさば、京都の俵屋など、平均4万円を超える本物志向の名旅館を泊まり歩いたそうです。
本物とは何か、考えさせる宿でした。
お忙しい中、ありがとうございました。