私たちがこれまでに「アルツハイマー型認知症」の早期発見と回復及び予防の為の地域予防活動を展開してきた市町村(高齢化率が30%を超える市町村)において畜積したデータによると、下記(認知症の人の年齢別発生頻度)のグラフに示す通り、「アルツハイマー型認知症」を発病している小ボケ以下の人たち(「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」レベルの全て)の年代ごとの割合は、定年退職などで「第二の人生」が始まったばかりの60代に12%もの高い割合を示していて、70代に30%、80代に50%、90代に75%、加齢の極まりの100歳代に97%というように、年をとるにつれて、どんどん増加していくのが特徴です。 高齢化率が30%を超える市町村のどこかの地域で、70代のお年寄りがアトランダムに100人集まると、30人はもう「アルツハイマー型認知症」を発病しているのです。「小ボケ」(社会生活に支障がある)か、「中ボケ」(家庭生活に支障がある)か、「大ボケ」(セルフケアにも支障がある)か、どれかのレベルになっているのです。
更に上記の「データ」は、私たち日本人の日常生活面での「脳の使い方」、言い換えれば、「生活習慣」についても重要なことを示唆してくれていることに注意を向けることが必要です。このことについては、次回(N-27)の報告で問題を提起したいと思います。
上記の「データ」は、直接には、以下のことを示しています。
○ 「アルツハイマー型認知症」の対象は、60歳以下の人は殆どいなくて、高齢者と呼ばれる60歳以上の年齢のお年寄りに限られている;
○ 年をとるほど「アルツハイマー型認知症」の人の割合が増えていき、身体も限界の100歳代では、殆どの人が(97%の人が)「アルツハイマー型認知症」になっている;
○ 「アルツハイマー型認知症」になっているお年寄りの年代ごとの割合が、北海道、東北、関東、東海、中部、北陸、近畿、中国、四国、九州のどの地域をとってみても、どこも殆ど同じで、地域差が認められない。
こうした「データ」から、「アルツハイマー型認知症」を発病する要因は、食べ物でも金属の摂取でもなくて、「加齢による脳の老化」という問題が基本的な条件(第一の要件)として考えられるのです。
上述のように、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象者は基本的に60歳以降の高齢者だけです。「脳の老化」と言う問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は若者には関係なくて、「60歳以降のお年寄りだけが対象になる」と考えられるのです。
アミロイドベータやタウタンパクが原因とされる老人斑の生成や神経原繊維変化は、脳機能の廃用性の機能低下による副産物(「結果」)であって、「アルツハイマー型認知症」発症の直接の「原因」ではないと私たちは考えています。
但し、年をとれば誰でも「アルツハイマー型認知症」を発病するわけではありません。70歳代の人たちの70%の人達は、「前頭葉」の機能が正常レベルを保っていて、年相応のレベルでの「社会生活」を送っているのです。「アルツハイマー型認知症」を発病する30%の人達と発病しない70%の人達とを区分けしている鍵となる「第二の要因」とは一体何なのか。その第二の要因は、実は、第二の人生での脳の使い方(「生活習慣」)にあるのです。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、第二の要因の「類型パターン」を含めて、(N-30)で詳しく説明します。
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