な~なじらね

スクールニューディール 電子黒板にひとこと

新聞やテレビの報道によると
「スクール・ニューディール構想」の具体策が示された。
全国約3万2000校の公立の小中学校に電子黒板を行き渡らせ、
また、太陽光発電システムの導入校を
現在の10倍に相当する約1万2000校に引き上げる目標が盛り込れ、
約1兆2000億円(国庫補助と地方向け臨時交付金の合計)
を計上した2009年度補正予算を成立させたという。

ICT環境の整備で目玉となるのが、50インチ以上の電子黒板機能付きデジタルテレビだそうです。
電子黒板は、パソコン画面などをテレビに投影し、
電子黒板上で図形を操作したり、
電子ペンで文字を直接書き込んだりできるもので、
視覚的な学習の強化を通じて集中力を高める効果が期待され、
原則的に、各学校に1台ずつ配備する計画だそうです。

昨日のあるTV局の報道画面には、英国製のスマートボードが映し出され、
1台約70万円で、授業で使っている場面が流れていました。
アホなわたしは、「え!日本政府は、英国製を購入するの?」と思わず叫んでしまいました。
(文科省のスクールニューディール関係の報道をよく読めば、
 決してスマートボードの導入ではないので、
 これを報道したTV局は、訂正された方がいいと思うのですが。)

前任校では既に独自にスマートボードが3台導入されており、
1F、2F、3F毎に1台ずつ配置して、実際に授業で活用していました。
わたしも、情報機器を活用した授業をすることが好きで
よく使っていました。

でも、いくつか疑問があります。

まず、国産のタッチ操作ができる大型プラズマテレビ(?)
(4年前に在勤した学校で使用経験があります)ですと、
当時100万円以上という高価な値段でした。
英国製のスマートボードはそれよりもずっと安価で導入でき、
使用するためのソフトは、無料でネット上に提供されています。
政府は、どんな機種をどれくらいの値段で購入すると考えて
予算計上をされたのか知りたいと思いました。

スマートボードで使用するソフトは使い勝手がいいのですが、それに匹敵する
いえ、それ以上のソフトのある国産品があるのでしょうね。あってほしいです。
大きな予算をかけて導入するのですから。
ちなみに、世界シェア№1は、英国製のスマートボード。

視聴覚機器を使用した授業のよさとしてわたしは次の点を実感しています。
①教材を作成することで、教師の教材理解が深まる。
  スマートノートブック(先述のスマートボード用のソフト)は
  パワーポイントに近く、使い勝手のいいソフトです。
  でも、両者には一長一短があり、
  その都度目的に応じて使い分けていました。
  スマートノートブックは、
  パワポのようにアニメーションが使えませんでした。
  (今は改良されているのかもしれませんが)
  スマートボード上でパワポを使うと、
  ペン書きをしているときに、「タッチ」と判断されて、
  まだ、進めたくないのに、アニメーションで動いたり、
  次のシートにいってしまったりするのが難点でした。

  教材を作る時に、動かし方を考えたり、効率的な内容になるよう
  考えたりしますので、使ったときに、より子ども達に分かりやすくなるよう
  考えている自分がいました。
  算数の時間や国語の時間によく使っていました。
  パワポをプロジェクターで写して授業をする方は多いですが、
  電子黒板ですと、
  使いながら、画面上でペン書きができるので
  子ども達の学習により生かすことができ、便利でした。
  
②子ども達の授業への意欲が高まり、学力向上につながる。
  今の子ども達は、生活の中で自然に様々なメディアに接しています。
  ですので、情報機器を使うというだけで、目を輝かしてくれました。
  また、先述のように、教材準備の段階で、授業内容や付けたい力を精査し
  教材を作っていますので、当然子ども達に分かりやすい授業となります。
  その結果、多くの子ども達の学習の定着がよくなります。

反対に、問題点として

①電子黒板自体が非常に重く、移動がたいへんである。
  子ども達が大勢いる教室の中で、もし、倒れたりすると
  大きなけがにつながりかねません。
  また、階段を使って移動させることは非常に難しいです。
  前任校はエレベーターがありましたので、
  1台のときもそれでも、移動をさせることができました。
  3台購入した理由として、先生方の使用頻度が上がり、
  1台では足りなくなったことや、
  各階への移動がたいへんだったことでした。
  先進導入校ということで、教育委員会から優先的に予算付けを
  してもらえました。

②セットに手間がかかる。
  今の学校現場では、準備に非常に手間がかかります。
  まず、電子黒板を教室に運び入れ、
  次に、PC及びプロジェクターをセットし
  ソフトを起動させて使っています。
  前任校では、その煩雑さから、PCを使うことを苦手と思っている
  先生方は、その効果を認識しながらもやはり、日常的に使用するには
  ハードルが高かったようで、
  学級によって、使用頻度がずいぶんと異なりました。
  どの学校も授業と授業の間の休み時間は5分~10分。
  その短い時間に、セットし調整するのですから、
  慣れていないと負担感を感じてしまいます。
  また、操作手順や単純なミスから、
  思うように動いてくれないのがPCです。

③自作教材を作る時間が捻出できない。
  学校現場はとにかく忙しい。
  教材作りの時間を勤務時間内で確保するのはほぼ不可能です。
  慣れるまでは、時間がかかるので、帰宅後でした。
  慣れてきたら、比較的短時間で作れますので、
  早朝出勤をしたり手当なしの時間外勤務時間に作ったり
  もちろん無給の休日出勤のときに作ったりしていました。

つまり、経験から言わせてもらうと、

 どの教室からも、
 無線LAN
 天井から下がった常設のプロジェクター
 黒板上に電動で下りてくる電子黒板

 ができる環境が整えば
 どの学校でも
 十分活用できる環境になる

環境が整わなければ、
巨額の税金を活用できない結果になると思うわけで・・・す。

ちなみに、アナログ的ですが
最も使い勝手がいいのは、
マグネット式スクリーン(書き込みができないのが難点)
または、黒板モードで直接黒板に写す
(子ども達に見づらいけれども頑張って見てもらう。)
方法です。

メーカーのみなさん、文科省のみなさん、
よき使い方やよい電子黒板があったら、
お教えください。

  
  
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