一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

『キューブリックが語るキューブリック』(世界のドキュメンタリー・NHK BS)

2021年02月14日 | テレビ番組
 アメリカの映画監督で脚本家でもあるスタンリー・キューブリックのドキュメンタリー番組を興味深く見た。
 スタンリー・キューブリック監督作品は、『シャイニング』『時計じかけのオレンジ』『博士の異常な愛情』『現金に体を張れ』『スパルタカス』『アイズ ワイド シャット』『ロリータ』『フルメタル・ジャケット』『バリー・リンドン』『2001年宇宙の旅』などを、面白く観た。
 初めて観たのが『2001年宇宙の旅』(アメリカ・1968年)。最初に観た時、そう面白いとは思わなかったが、2度目に観たら、わりと面白くて楽しめた。
 好きな映画監督は10人以上いるが、その中にスタンリー・キューブリック監督の名前はなかった。けれど、映画の感想ブログを読み返してみたら、キューブリック監督の映画を結構観ていることに気づいた。特にキューブリック監督作品だから観たという時は、あまりなく、観たら面白かったという映画ばかりだった。キューブリック監督の創造した世界が繰り広げられていくような映画ばかりで、キューブリック監督の独特の個性や才能を感じさせられた。
 この番組のドキュメンタリーを見て、キューブリック監督が1本の映画制作にかなり時間をかけ、さまざまな拘(こだわ)りもあり、熟考もし、独特の世界を創り出そうとしたということが、よく伝わってきた。
 概して、古い映画を含めた2000年以前の映画は面白く、感動的、芸術的な映画が多く、2000年以降は才能ある映画監督も脚本家もあまりいなくて、単なる〈映画屋さん〉と言いたくなるような人たちが制作した映画が多いような気がする。エンターテインメント、娯楽映画としての面白さはあるから、観る価値はあるし、すべての映画というわけではない。
 あるネット記事で、「2000年以降の映画はクズばかり」という映画ファンらしい人のコメントを読み、2000年以前の映画は良作が多いと言いたげな、同じような見解の人がいると思った。
 どんなに高額な制作費をかけても、大宣伝した話題作も、CGを派手に巧みに取り入れた映画も、3D立体映画も、およそ2000年以降の映画には印象深い映画を観たという感動を得られないことが多く、面白くない映画も少なくないような気がする。すべての映画というのではなくても、才能のある名監督も名脚本家もいないのは何故なのかと不思議に思う。
 字幕翻訳も、最新の流行語を取り入れているのを見ると興醒めになる時がよくある。映画の字幕翻訳は、意味が通じればいいという直訳ではなく、センスのいい意訳が理想的である。字数制限という技術以前に字幕翻訳家の言語のセンス、実力、才能が発揮されるのが字幕翻訳という仕事だと思う。オペラも映画も、字幕翻訳に拘(こだわ)るというより、私にとっては楽しさや感動の一要素だからである。
 ともあれ、洋画の映画を観るのは楽しい。同じ映画を何度観ても感動する映画も、初めて観る映画も、オープニング・クレジットが流れると、たまらなくワクワクした心地にさせられる。感動的な映画、面白く楽しめた映画、印象深い映画を観た後は、つくづく映画を観る醍醐味に触れた喜びに包まれてくる。



この記事についてブログを書く
« 新年のご挨拶 | トップ | コロナ・ワクチン接種の迷い »

テレビ番組」カテゴリの最新記事