正午近い午前、家に1人きりでいる母から電話がかかってきた。元気な声で、うれしかった。
相変わらず、週に3日、デイ・サービスに通っていることや、家族のことや、インフルエンザの予防注射に行ったことや、眼科に連れて行ってもらったことなどの話。
眼科の治療は、薬を飲むのと目薬だけのようだ。電話をかけてきた時の番号を見る時、古い老眼鏡を使ったら、よく見えたと言うので、笑ってしまった。
母は若いころ視力が良くて両目とも1.5。遠視に近いくらいなので、50歳過ぎぐらいの時、老眼鏡を作った。
「お母さんがメガネが必要だった年齢になっても、あたし、全然、メガネ要らないもンね」
そう言ったのは、母は近視の私に、よく呆れていたからだ。子供心に、悲しい時もあった。母には近視の子の気持ちはわからない。
「ふうん、そう」
と、母が感心したように答えたのは、同居の長男夫婦がメガネを使うのを見慣れているせいもあるからだ。義姉は40代半ばごろから老眼鏡を使っていると知った時は、驚いたが、やはり若いころは視力が良かったからである。
義姉の体調のことを少し話した後、
「お母さんは元気ね、ほんとに、いつも元気ね。良かったわあ」
そう言うと、
「そう。わたしは元気なの。両親から丈夫な身体を貰ったから」
自慢げに、そう答える。
「風邪ひかないでね。インフルエンザにかからないでね。デイ・サービス行って、感染(うつ)ったりしないで」
「感染らないよ。誰も風邪ひいてないもの」
「良かった」
毎年、インフルエンザの予防注射をしている母は、風邪をひかないだけでなく、インフルエンザにもかからない。
いつか、肉親が集まった時に、インフルエンザになった経験がないのが、母と私だけで、あとは皆、1度以上は経験があるとわかって、思わず、母の背中に抱きついてしまった。
「また、お姉さんと、一緒に行くわね」
そう言ったら、
「あんたたちが、なかなか来てくれないから、寂しくて寂しくて」
いつもと同じような言葉を母は口にする。いくつになっても高齢になっても母は感情豊かな性格。
母との電話の後、姉に電話すると、母にかけると言う。しばらくたってから、姉に電話して、実家や母の話などで久しぶりに長電話になった。
相変わらず、週に3日、デイ・サービスに通っていることや、家族のことや、インフルエンザの予防注射に行ったことや、眼科に連れて行ってもらったことなどの話。
眼科の治療は、薬を飲むのと目薬だけのようだ。電話をかけてきた時の番号を見る時、古い老眼鏡を使ったら、よく見えたと言うので、笑ってしまった。
母は若いころ視力が良くて両目とも1.5。遠視に近いくらいなので、50歳過ぎぐらいの時、老眼鏡を作った。
「お母さんがメガネが必要だった年齢になっても、あたし、全然、メガネ要らないもンね」
そう言ったのは、母は近視の私に、よく呆れていたからだ。子供心に、悲しい時もあった。母には近視の子の気持ちはわからない。
「ふうん、そう」
と、母が感心したように答えたのは、同居の長男夫婦がメガネを使うのを見慣れているせいもあるからだ。義姉は40代半ばごろから老眼鏡を使っていると知った時は、驚いたが、やはり若いころは視力が良かったからである。
義姉の体調のことを少し話した後、
「お母さんは元気ね、ほんとに、いつも元気ね。良かったわあ」
そう言うと、
「そう。わたしは元気なの。両親から丈夫な身体を貰ったから」
自慢げに、そう答える。
「風邪ひかないでね。インフルエンザにかからないでね。デイ・サービス行って、感染(うつ)ったりしないで」
「感染らないよ。誰も風邪ひいてないもの」
「良かった」
毎年、インフルエンザの予防注射をしている母は、風邪をひかないだけでなく、インフルエンザにもかからない。
いつか、肉親が集まった時に、インフルエンザになった経験がないのが、母と私だけで、あとは皆、1度以上は経験があるとわかって、思わず、母の背中に抱きついてしまった。
「また、お姉さんと、一緒に行くわね」
そう言ったら、
「あんたたちが、なかなか来てくれないから、寂しくて寂しくて」
いつもと同じような言葉を母は口にする。いくつになっても高齢になっても母は感情豊かな性格。
母との電話の後、姉に電話すると、母にかけると言う。しばらくたってから、姉に電話して、実家や母の話などで久しぶりに長電話になった。