と、最近感じている。
彼を第一級の作家の地位にまつりあげたもっとも重要な作品
『ライ麦畑でつかまえて』は、とくに思春期の若者たちの愛読書とされているが、
大人の世界のインチキを見抜く高校生ホールデン・コールフィールドの反抗的で混乱した精神は、
ティーンエイジャーにとって、致死量をこえる劇薬にもなりうるからだ。
若さゆえにその毒気にあてられて社会への反骨心ばかりが増幅され、
物語の本質をとらえられない危険性がある。
だれでもティーンエイジャーのころは、社会にたいする反抗心みたいなものが多少はあって、
ちょっとした言葉や音楽、小説などによって、その反骨心が敏感に化学反応をおこしやすい。
もちろん、それはそれで好ましいことなんだけど、
サリンジャーの本質を感じるには、ある程度の年齢になってからのほうが、さらにいい。
最近、読みかえしてみて、オッサンはそう感じている。
ちなみに僕のオススメは、短編集『九つの物語』(NINE STORIES)かな。
とくに『バナナフィッシュに最適な日』は、『ライ麦畑で…』以上に、サリンジャー的だと思う。
このエントリーの要旨と矛盾するけど、
サリンジャーはティーンエイジャーのハングリー・ハートにこそ必要な作家
という認識も、僕のなかには強くあるんだよな。
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milo
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