東京都狛江市にある沖縄出身学生寮、南灯寮が今月末で創立70年になると新聞紙の報道で知った。そうか、70年にも及ぶのかと感慨深い。東京暮らしの学生時代に友人に寮暮らしがいて、何度か遊びに行ったものだ。当時の建物は老朽化が著しくて地域の消防からマークされるほどで、ガラス窓の立て付けは歪んで冬場はすきま風が容赦なく吹き込んできたものだ。寮費は安くて寮母さんの賄いがあったので、食欲旺盛な学生たちは重宝した筈だ。年に一度の寮祭では狛江市の駅前商店街を学生たちがエイサー道ジュネー、地域に親しまれ、同じく県出身学生寮の沖映寮や女子学生専用の和敬寮の学生たちが一堂に集い、沖縄そばや沖縄料理に舌鼓を打ち、オリオンビールや泡盛を嗜んだ。この空間はウチナー口が解放されたのだ。あぁ、あれから70年。和敬寮は消え、沖映寮は女子学生専用に変り、男子受入れは南灯寮のみとなった。建物は既に改修で近代化された。南の灯は永遠に。