北関東の宮彫・寺社彫刻(東照宮から派生した宮彫師集団の活躍)

『日光東照宮のスピリッツ』を受けついだ宮彫師たち

・柴又帝釈天 帝釈堂胴羽目【第3面】-彫刻師 石川信光(三世信光)

2024年03月22日 | 総論 
第三面の胴羽目 「法華経説話:一雨等潤」 石川信光作 (縦 127㎝、横 227㎝、ケヤキの一枚板)


題材は『法華経』巻第三 薬草喩品第五  「一雨普潤」「三草二木」
 ―仏法の平等を降雨の普遍性に、仏法受容の個人差を草木の多様性に例えた。

右上部に雨神と雷神が下界に雨を降らしている


中央に薬草園と管理人(園丁)


下部は、水辺で遊ぶ天女たち



左上部は、洞窟内の修行者と天女


刻面 「三世 石川信光」


・模型彫刻(大客殿廊下) 石川信光作



・手水舎 南西隅の龍(眉毛 巻き毛)

 龍の蛇腹部の刻銘「石川信光」


・同手水舎 北東隅の龍(眉毛 トゲ状)  信光は2つ龍(雌雄)を作成している



・三世 石川信光
 明治十七年(1884)、東京 京橋区材木町(現中央区)生まれ。三五郎と名のる。二代石川信光(銀次郎)の子女の子。二代信光、三代信光は「祖父、孫」の関係。
二代石川信光(銀次郎)は、胴羽目第五面を80歳で製作している。二世石川信光は弥勒寺音八の子で、初代石川信光の娘婿になった。
 初代石川信光は、石川光明の叔父(本家四代朝光の弟)ではないかと考えている。―長野の宮彫師 山嵜儀作家の文書(石川光明の書簡)で、儀作の長男の山嵜新作が光明の叔父(おそらく初代信光)の元で修行をした内容が書かれている。

・参考資料
『帝釈天題経寺建造物調査報告書』(葛飾区教育委員会発行、令和四年)
『帝釈堂 法華経説話彫刻』 (帝釈天題経寺発行)
『甦る「聖天山本殿」と上州彫物師たちの足跡』(阿部修治、2011年)

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