たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★目先にあるのは、地域のことか、道路のことか。(説明会に参加して)

2015年11月05日 | 夏目坂道路拡幅工事
★環状第4号線(夏目坂)の道路拡幅事業概要及び測量説明会

夏目坂拡幅工事の説明会に参加してきましたが、
責任者・担当者の対応からは、非常に残念な気持ちを抱きつつ帰ってきました。

以下、説明会に参加しての雑ぱくな感想と、希望を記しておきます。





(1)なぜ一番厄介なところを言わないのか。

現状で最大幅11メートルの夏目坂通りを20メートル道路にするそうです。

はじめに計画の経緯説明がありましたが、その内容は…
 昭和21年に環状4号線の都市計画が決定され、
 平成16年に優先道路の指定を受けましたということのみ。
わずかこの2行で終わってしましました。

実は環状4号線は、もともと夏目坂よりずっと西の国立国際医療研究センター付近に指定され、
後に河田町・若松町・夏目坂・穴八幡の横という大きく迂回した経路に変更されています。

そのような道路計画の変更によって、
夏目坂が拡幅されることになったという大変重要な変更点を、
住民側が指摘するまでは全く言及せず、やり過ごそうとしていました。

最も突かれそうな点を言わずにおいたということが、
説明が始まって早々、「あれっっ???」と感じてしまった点でした。





(2)考えているのは地域のことか、道路のことか。

そして拡幅によって住民にどのような利便性があるのか、
という点を、現在の問題点を挙げて説明されました。

 ・自転車2台が対面ですれ違うのが危険な歩道(そもそも自転車は車道ですよね)
 ・路上駐車車両の横を通るのにセンターラインを越えないと通れない道幅

という点を指摘していましたが、この夏目坂通りでそれを指摘するなら、
この地域では、河田町にある東京女子医大の歩道の方がよっぽど危険性は高いです。
居住者、病院患者(入院・外来)、医師、学生(近隣に3校)が往来しているのに、
一部の歩道では、車椅子1台が通れるほどの幅しかないのです。
しかも、病院のお見舞い客が駐車待ちのために公道上に車列をなすこともしばしば!



計画がなされた50年前の道路需要と現在の道路需要は違うということや、
それでも拡幅をするのは何故かという積極的な理由付けはありません。

これまで行われてきた外苑西通り(環状4号線)の伸延工事が、
富久町→余丁町→若松町と工事が進められてきているため、
次は夏目坂通りですよということでしか、拡幅の意義が語られないのです。

50年前の呪縛に従って、考え無しに工事を進められたのでは堪りません。
「住民の利便性」は、計画を進めるための実質的な理由にはなっていません。




(3)本当に住民の理解と協力を得て事業を進めたいのか。

更に驚いたことは、この11月に初めての説明会を設け、
そして今年度中にはもう現況測量を実施し、
来年度中には用地測量をするつもりなのだそうです。

いや、いや、いや、これまでさんざん放ったらかしにしておいて、
住民が様々な犠牲を被る道路の拡幅計画であるのに、
始めるとなったら、住民の理解と協力を取り付けるまでの手順がありません。


更に質疑応答の時間に移って、露骨に出てきたことは、
住民からの理解を得たいという気持ちが無いということでした。

質問のメモを取ることも、回答のため資料を探すことも必要でしょう。
でも、前2列目から職員さんたちの姿を見ていて感じたことは、
質問者がどういう人なのか、職員さんは知ろうとしていなかったということです。

その姿や顔をしっかりと見て、一体何を意図した質問であるのか考え、
どうしたら質問者の疑問が理解に変わるのか、そのような気持ちで臨まなければ、
それは質疑応答の形を取った自己主張でしかありません。





(4)拡幅工事を実施する以前に、誠実、真摯であって欲しい。

以前、近所に高層マンションが建つという話がありました。
民間の不動産デベロッパーが数年前から通ってきていて、
計画には全く賛成できないものではありましたが、
少しでも理解を得たいという姿勢があることだけは、よくわかりました。

でも、今回の説明会における対応からは、
残念ながら、そのような姿勢が感じられませんでした。



職員さんからみれば、自分の仕事の一つかもしれません。
50年も前から拡幅することは決まっていたと言うかもしれません。
でも、認識を改めて欲しいことがあります。
今回の拡幅工事に良きにしろ悪しきにしろ影響をうける人たちがいます。

 毎日の一人一人の生活はどうなりますか?

 道路のこちらと向こうの人たちの関係性はどうなりますか?

 道路に接する5つの町会の、これからのあり方はどうなりますか?

 この道路を渡って通学している子供や孫の世代に危険はありませんか?

 いやいやながら用地提供する人もでてきませんか?

 用地提供によって転居を強いられる人はでてきませんか?

 職場を移ったり、今の仕事が続けられなくなる人はでてきませんか?



そこに住む人たちの日々の生活、人間関係、地域のあり方、こころの問題にも、
深く、広く、長く、影響を与えるのがこの道路拡幅工事です。




雛壇上に座する責任ある立場の人が仏頂面であるのに比して、
会場周辺の案内係、入口の下足係、掲示物前の説明係の人たちは
比較的若く見える職員さんたちでした。
彼らの方がよっぽど丁寧に、住民の言葉で対応をしてくれていました。

いろいろな地域で拡幅工事を行っていれば、
住民からの様々な疑問、質問、批判、意見が出てくるはずで、
それら一つ一つに対応していくうちに
いつの間にか苛立ちや憎悪の感情に染まることもあるでしょう。
担当者が辛い役どころであるのは察することもできます。

でもね、道路を作るって、ちっちゃな仕事なんでしょうか。
たくさんの人の人生が変わってしまうわけですよね。



住民が期せずしてヒートアップするのは、
役所の論理で事業を進めようとするからです。


まず住民の思いに心を巡らすべきです。
そして、それでも計画を実施するのであれば、
少なくとも担当する人それぞれが、住民の顔を見て、気持ちを聞くこと、
人に対して誠実な態度で、真摯な態度で、仕事をして欲しいものです。





※※※※

大龍寺は夏目坂通りに接した境内地の一部を用地提供するよう指定を受けています。
時が来れば、求めに応じて用地提供をせざるを得ないのかもしれません。

そうなるとこれまで自動車で参拝に来られていた方の駐車スペースがなくなってしまいます。
また、測量の結果次第で、墓地に影響が及ぶお檀家さんが出てくる可能性もあります。

東京都には、当山に対して個別の説明会を開くよう要望をしていますので、
日時決定しましたら、檀信徒の皆様には、追ってご案内をさせていただきます。


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