城郭探訪

yamaziro

広徳寺砦(庚申城) 近江国(甲賀・水口)

2016年02月09日 | 陣城

お城のデータ

所在地:甲賀市(旧甲賀郡)水口町山上988 map:  http://yahoo.jp/V_xpqf

別 称:庚申城

現 状:寺院・森林

区 分:陣城

創建期:延暦2年(783)

開基者:最澄

中興期:元和2年(1616)

     寺伝によると、日本で最初に真鍮を作り出したとさせる籐左衛門が元和2年(1616)に本堂を寄進し、その後金物商の信仰を集めている。

築陣期:北朝の争乱・・・建武5年(1238)

陣 主:頓宮弥九郎

目標地:広徳寺

駐車場:山頂駐車場

訪城日:2016.2.8

お城の概要

霊峰飯道山の南東の尾根につながる庚申山は、瑞応山竜華院広徳寺がある信仰の山。町内の人からは「庚申さん」と呼ばれ親しまれています。ハイキングコースが整備され、展望台もあります。秋は山全体が紅葉で覆われ、眺望も一段と見事になります。
広徳寺は、最澄が開いたお寺です。真鍮製造の始まりとなった伝説に由来して、各地から参拝者が訪れます。

尚、2013年の山火事で本堂は全焼してしまいました。

広徳寺は庚申山の山頂に、登山口から20分もあれば登れる山で、お寺には展望台があって、遠くは美濃の山まで肉眼で見えるほど景色。鈴鹿山脈の北の端から南の端まで、一列に山を並べたように見え圧巻、望遠鏡もある。寺があるので水道、トイレも、山頂付近は散策道。
登山道は良く整備されています。小野登山口から舗装された林道が山頂まで車で(足に自信がない人でも)林道は、一部桜や楓並木に。

城郭史

『甲賀郡志』によると、南北朝の動乱の際。建武5年(1238)に頓宮弥九郎が南朝方として「金剛童子峰」に籠ったとある。

「金剛童子」とは、広徳寺の本尊である青面金剛童子に由来する。

南北朝の動乱
頓宮という地名が出てくるのは、文治6(1190)4月の伊勢内宮役夫工作料未納について書き上げた注文の中に「頓宮」の名が見えるのが地名としての初見とされている。
「頓宮文書」には,建武3(1336)正月2日の近江国頓宮知綱着到状があり、それには頓宮肥後弥三郎知綱と記されているおり、上記肥後守である盛氏と同じ国司、肥後の名乗りのため裔と考える。この着到状は足利尊氏に呼応し挙兵したことである。南朝側に味方した頓宮弥九郎とは一族の者とされている。また応永21(1414)113日の大野光保譲状により甲賀郡大野郷が譲与されているため、その際に近江へ移住したのでは考えられる。
近江の地で頓宮氏が台頭し、南北朝時代では南朝側に前記の頓宮肥後弥九郎が五辻宮守良親王に味方して兵を挙げ甲賀郡をまとめたが、足利尊氏の命を受けた甲賀の小佐治右衛門三郎・山中橘六・美濃部兵衛三郎などが佐々木秀綱に従って攻め、頓宮肥後弥九郎は岩倉城(信楽町)へ拠るが守れず、和束(京都府)へ逃れた。再び、和束・信楽の兵を集めて、頓宮氏は近江の鮎河城に拠るが、佐々木秀綱・小佐治合同軍に囲まれ、鮎河城を支えられずに庚申山(水口町)に拠るが、ここも支えきれず和束へ退いた。再々度、頓宮弥九郎は鮎河城に拠るが、佐々木秀綱・山中五郎・柏木源蔵は鮎河城を襲い、火を放って城を焼き滅亡させられた。
 
甲賀五十三家、そして改易へ
頓宮牧荘を中心にし、豪族として大きくなった頓宮氏は、鎌倉期に頓宮治三郎正盛が頓宮城を築いた。その後、長享年間(1487~89)に音羽野の地を領有することになり、頓宮四方介利盛が音羽野城を築いた時に頓宮城を廃城にした。
長享の乱の合戦で、甲賀衆は足利義尚の本陣である鈎の陣に夜襲をかけ、幕府軍を蹴散らした。戦いに活躍した五十三家を甲賀五十三家と称するようになり、特に六角高頼から感状を受けた家を甲賀二十一家と呼ばれ、その中である北山九家という地域連合惣の中に頓宮四方介がおり武功をあげた。その後、音羽野城は子孫が世襲していったとされているが、子孫の記録がはっきり分からない。「蒲生古蹟考」には時代は不明だが、音羽野城主頓宮内藏助政忠の記録がある。
戦国時代になり織田信長によって佐々木六角氏が攻められ没落し、頓宮因幡守守孝は信長に降ったが、天正13(1585)に豊臣秀吉によって領地は没収され改易となった。その後、どうなったかは分からないが、前記の「蒲生古蹟考」には頓宮善六や、近江水口藩の加藤家分限帳の中に頓宮氏がいた記録が見受けられたので、生き残ったものと推測される。
なお、甲賀五十三家の中に黒川氏・土山氏・大河原氏があげられるが、この三氏は頓宮氏から分家したといい、「黒川村誌」には頓宮四方介の弟が黒川久内土山鹿之助盛忠は頓宮四方介利盛の次男といった記録があり、密接な関係であったことが分かる。(古樹紀之房間より)

山頂駐車場

参考資料:甲賀郡志、甲賀市観光ガイド、古樹紀之房間

        本日も訪問、ありがとうございました!!感謝!!


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