■平成25年6月21日(金) 第16607号
=凹凸に貼り分けた輝き 元瓦窯業の松井さん製作=
松井さんが製作した信長(中央から右側の2枚)と秀吉の金箔瓦
◇近江八幡
近江八幡市郷土史会会員の松井秀夫さん(船木町・61歳)が、信長と秀吉が居城に使った二種類の金箔瓦を作った。
軒丸瓦と軒平瓦で、信長の瓦は安土城跡から、秀吉の瓦は伏見城跡からそれぞれ見つかったものを参考に研究調査を重ねて再現した。
信長の瓦は、瓦を装飾する三つ巴の文様の凹面に金箔が貼られ、秀吉の瓦は凸面に貼られているのが特徴で、金箔の輝きで浮かび上がる文様に陰と陽の対照的な違いがある。どちらも金箔面の下地に朱漆が塗られ、金箔をむらなく貼る工夫と金の発色を鮮やかにする技巧が施されている。
かつては八幡瓦の窯業を営み、現在は工務店を経営する松井さんは「小さい頃から瓦をみてきたので、金箔瓦には興味を抱いていた。金箔瓦は、湿度の変化によって固まる漆塗りの特徴を活かして耐久性を持たせ、金箔の鮮やかさを保つために下地に朱色が選ばれていることが分かった。最初は、単に瓦に金箔を貼ったものだと考えていたが、当時の職人の技術に感心させられた」と話している。
金箔瓦は、金箔を扱う京都の技術者に製作を依頼したもので、同じ文様でも金箔の使い方の違いが、信長と秀吉の人物像に重なる。
金箔瓦は、二十三日午後一時半から近江八幡市立図書館で京都府立山城資料館の森島康雄氏を講師に招いて開かれる歴史講演会「秀次公と聚楽第」(主催・近江八幡市郷土史会)で展示される。入場無料。予約不要。