城郭探訪

yamaziro

大津市内で出土した「鴟尾」完全復元され古代の威光放つ

2013年06月10日 | 文化財

 

=歴史博物館で特別公開中=

全国的に珍しい完全に復元された「鴟尾」(県重要文化財)

◇大津
 大津市歴史博物館は十六日まで、新たに県重要文化財や有形文化財に指定された同市蔵の鴟尾(しび、七世紀後半)四点、西教寺蔵の木造阿弥陀如来と両脇侍(りょうきょうじ)像(十三世紀前半)を常設展示室で展示している。
    尾は、古代の宮殿や寺院の屋根の両端に取り付けられた飾りで、奈良県の唐招提寺の屋根には奈良時代のものが近年まで現存していた。
 今回公開する鴟尾は、山ノ神遺跡(大津市一里山三)の窯跡の発掘調査に伴って見つかったもので、焼くのに失敗し、そのまま放置されたものとされる。大きさは、高さ百四十センチ、基底部の長さ百四センチ、基底部の幅六十センチ、重さ百六十四・三キロ。
 全国的にみて鴟尾の出土は約三百例あるが、完全に復元できるものはわずか。これに対して山ノ神遺跡の場合、完全に復元できる鴟尾が四点も出土したのは非常に珍しいケースとされる。

西教寺の木造阿弥陀如来と両脇侍(りょうきょうじ)像(県指定有形文化財)は、快慶の一番弟子、行快による現存最古級の仏像

 同博物館は「この鴟尾がどこの寺院で飾られる予定だったが不明だが、出土例として非常に貴重」としている。
 これとは別に展示されている木造阿弥陀如来と両脇侍像は、鎌倉時代初期の仏師、快慶の一番弟子、行快によるもの。涼やかで理知的な表情、やや左腰を引いて左足を前に出す歩行表現は快慶一派のもつ作風といえる。
 また、一二一六年~一二二七年に制作したものと考えられ、行快作の仏像としては現存最古級とされる。
 入場は一般二百十円、高大生百五十円、小中生百円。六十五歳以上は無料。問い合わせは同博物館(TEL077―521―2100)へ。


最新の画像もっと見る