朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
※毎週土曜更新を目標にしています。

ラクゴリラ

2009年10月30日 11時32分27秒 | 落語・講談・お笑い
昨日はミナミへ「出没!ラクゴリラ」を見に行く。

早く着いたので、
ジュンク堂で「快楽亭ブラックの毒落語 」(平岡正明)に
さらっと目を通してしまう。
いろいろ突っ込みどころはあるのだが、
まあ、そんな視点もあるのかな、というレベルで押さえておけば良いと思う。

6時前に上がったのだが、整理券制になっており少し待たされた。
先に上がって整理券だけ取っておけば良かった。
それでも前の方に場所を確保。


「鰻屋」(雀喜):△

ボヤキのようなタラタラとしたマクラ。
同期8人の内5人が辞めている、って珍しい代だと思う。
しかしきちんとやっているのが彼とあさ吉、て酷い話だ。
雰囲気があって面白いが、あまり若さは感じない。
16年もやっているんじゃあ仕方がないが。

ネタはまあ丁寧で、よくウケているのだが、それ程良いとは思えない。
滑舌があまり良くなく、喋りに妙な緩急がつく。
このあたりのクセは、ストーリーの運びでウケさせる上ではマイナスだろう。
あと、場面が変わる際に少し切れる感じがする。
演者の意識の中で場面を切ってしまっているのかも知れない。

このレベルのネタならば良いが、大ネタは厳しそう。


「花色木綿」(文三):○-

マクラで長屋・泥棒ネタなど。
題材が面白く、ウケをとるようにきちんと構成されているので、
当然よくウケる。

「花色木綿」てあまり面白いと思ったことがないのだが、
これは意外に良かった。
(このネタを「面白くない」とは色々な人が言うみたいやね)

盗人の雰囲気・造型が良い。
プロなのでそれなりの緊張感を持ちつつ、
情けないところも表現するところが流石。

盗人は本当に何も(ふんどしも)盗らない。
被害にあった男は「家賃を負けてもらう」とかそんな計算もなく、
単に「盗人にあった、楽しい」だけで騒ぐ。
家主は父親的に男に接する。
「刀は一振りと言うんや」とか、落語の耳学問らしさも感じる。
男が「裏が花色木綿」と言っていくところも、
適当に口から出てしまっている感じであまり不自然さを感じなかった。

最後の盗人は少し本気で怒り過ぎかなあ。
もう少し「のんびりとした男が怒っている」方が好み。


「骨つり」(こごろう):△+

マクラから力いっぱい押してウケをとりにいく。
しんどいと感じることもあるが、この姿勢は好き。
題材そのものは、よくある身の回りネタだが。

ネタになると、どうも科白が多くて勿体ないなあ、と思ってしまう。
特に骨を釣り上げた後の会話がもたつく感じ。
若旦那が回向などを嫌がる繁八に対して
「そんな薄情な奴は今後贔屓にしない」とか言うあたりの科白は
ない方が良いだろう。
別にウケる訳でもないし、そこまで嫌々回向する設定にする必要もないと思う。
「どこの馬の骨や牛の骨や」「人間の骨やがな」だけで
さらっと若旦那が回向料を出す、と言ってしまえば良いと思う。

繁八の家に女が入るところも、少しやりとりが多い。

次の晩の喜いさんの独り喋り、少し酔っている感じで
これはこれで良いと思う。
五右衛門の転換が効かないのは、この人の声だと仕方がないだろう。
表情付けなどをオーバーにしてフォローしようとしていた。


「須磨の浦風」(生喬):△

マクラはミュージカルに出る話など。

ネタは、まあ、そこまでクサくしてウケをとりにいかなくても
良いのでは、という感想。

最初の鴻池の店での会話は、もう少し手を入れて面白くできそう。
現代的にしても仕方がないので、
妙な雰囲気のある下らない歓待策が出れば良いと思う。

長持に詰めた須磨の浦風を湊川で空けてしまうのだが、
それならばもう一度須磨に戻って詰め直せば?と思ってしまった。
上方でこのネタをやるのは、そのあたりがしんどいかも。
涼しがるところや、その後屁を詰めるところがオーバーで、
そのアクション・表情でウケていたが、
別にそこでウケをとるネタでもないでしょう。

サゲは紀州の殿様が言う。殿様は鷹揚で良かった。
このサゲに焦点を当てて、
そこに向けてさらっと進める+少しクスグリを入れて飽きさせないようにする
程度の構成の方が、このネタでは良いと思う。
プロとしていろいろいじってみるのは、当然だと思うけどね。


「幸助餅」(花丸):○

巧く作られた筋だと思う。松竹新喜劇っぽい。
特に強く押さずに、丁寧に人物描写をして(舞台をイメージしている感じ)
この筋を運んでいた。
笑いに来ている客が多く、
「ここはウケなくても」と思ったり、
ウケをとる場面でも「ここまでウケなくても」と思うこともあったが。

この手の話は嫌いではないのだが、バランスが難しいな。
いくつか「過剰に感動させにかかっている」と感じる科白・設定があった。

しかし、このような丁寧に人物描写をして筋を運んでいく噺が
この人には合っているのかも知れない、と思った。
過剰にクサく演る訳でもないので違和感はないし。
コメント
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