「ラクゴリラ」第2部。
いつもどおり、18時半開演。
「初天神」(呂竹):△+
良い前座。
マクラで「出張」を振って(少し高低差が大きい)ネタに入る。
向かいのおじさん、飴、みたらしまで。
やはり、呂鶴の声の出し方に似ている。
よく声が出ており、きっちり喋っていて良い。
「壺算」(こごろう):○
マクラのスナック菓子の話は少しとりとめのない感じ。
持っていき方、順序などを整理すると、もう少しウケると思う。
最初の2人の会話はまあまあ。
「カタカタカタと寄っていく」などもなく、あっさり壺が割れる。
特にアホの実在感が出る程のものでもないが、
まあ、それでも良いと思う。
番頭との会話はいろいろ増やしていた。
勢いで持っていく感じで悪くない。
アホも分かっていない、という科白廻しで、自然で面白かった。
(分かっていないのに分かっているようなことを言うあたり)
ただ、こうするならば徳さん(だったか)が店に戻るときに、
「お前が騒ぐから怪しまれる」よりも適当な科白がありそう。
いろいろ言っていくところ、
「この壺また3円で売れるんやろ」と言うのは良いが、
「3円50銭で売って50銭儲かる、50銭あんたに返さないといけない」
まで入れると、少し錯綜しすぎるかな、と思う。
好みの問題で、入れるのもありだとは思うが。
最後少し息切れした感じ。
だが勢いが空回りせず、全体に良かった。
「くっしゃみ講釈」(文三):○
マクラ少し整理されていない感じ。
結局大阪で講釈小屋は多かったのか?少なかったのか?がよく分からない。
けっこうアホを誇張して描いているが、
前半はイマイチはまらず。
「胡椒」「八百屋」「2銭」での逆切れが1度で利かず、
続けて切れてようやく「お前が怒ってどないする」になるのは
良くないと思うが。
アホが全体に高めの声で、
覗きカラクリもあまり雰囲気が出ない。
思い出すところの科白の流れは自然で良かった。
このアホを「忘れ」をメインで作っているのだが、
それが講釈場に入るあたりから効いてきた感じ。
火鉢を借りるところ、
唐辛子をくすべる際に思い出すきっかけが必要なところなど。
出色はくっしゃみ。
講釈はいまいち緊張が足りないかな、と思ったのだが、
くっしゃみの大小の変化(エヅくのは初めて見た)、
くっしゃみの後の緊張と照れた顔など素晴らしい。
枝雀程ではないが、けっこう誇張して、
しかし自然な範囲でやっていた。
個人的にはここのくっしゃみ、
そもそもくっしゃみするとは思っていないので
1回目は特に堪えずにしてしまい、
2回目以降は耐えてくっしゃみする、という流れが良い
(盛り上げやすい)と思っているのだが、
文三は1回目からけっこう我慢していた。
くっしゃみの後、下げまでの部分は少し疲れが出た感じ。
「電話の散財」(花丸):○-
メールの話、昔の電話の話(これは必須)をマクラに振ってネタへ。
番頭が少し柔らか過ぎる感じ。
幇間ではないので、
もう少し「店を預かる」番頭の芯のようなものがあった方が良いかな。
柔らかい大旦那も、ちと柔らか過ぎるか。
まあ、出の「番頭どん」の一言が大事なので、
仕方がないと言えば仕方がないし、
充分柔らかい人だしな。
あとは、まあ、いつも通りという感じ。
(あの後川に飛び込んだ、というのは初めて聞いたが)
きっちりネタで楽しめた。
一つ気になったこと。
電話相手に聞こえないように横の人に喋るときに、
耳にあてていた部分を手で抑えていたのだが、
あれはおかしくないか?
それでは送話口は剥き出しなので相手に聞こえてしまうのでは?
(助兵衛のオーさん、とか。)
確かに送話口を抑えるのも仕草として変だとは思うので、
どうすれば良いかよく分からんのだが。
細かい話なんだけどね。
「植木屋娘」(生喬):○-
マクラは師匠の奥さんの話など。
ネタは、幸右衛門のニンがメインになると思うが、
そこは全体によく出ていて良かった。
細かい部分では、気になるところがあったのだが。
最初の方、「お寺の和尚さんが幸右衛門のおじにあたる」
みたいな地の文があったように思うのだが、
あまりその設定は耳慣れないし、別に要らないと思う。
伝吉さんは、もう少し堅い(芯がある)方が好み。
やはり「500石の家督を相続する」侍の子の雰囲気が要ると思う。
最初の方で幸右衛門が嫁さんに娘のことを言う際に、
「うちの娘、あれは美しもんじゃ」と言わなかったように思う
(お寺では言っていたが)のだが、
親バカらしい科白で入れた方が良い。
年だけでなく、美しいから「近所の連中」の心配をしているのだろう。
覗きに行くところの流れは良かった。
戻ってきた時の娘の最初の科白は、やはり「お父さん面白い顔」だと思う。
まずは焼き板にこすりつけて顔が黒くなっているのが
最初に目に付くだろう。
娘の相手が伝吉さんと分かったときの母親は、単に大声を上げるよりも、
梯子段の上にいる幸右衛門の方を向いて叫び掛ける方が好み。
(枝雀のイメージなのだが)
下げを変えていた。
「根(値)が張る」を使うのは良いと思う。
ただ、持っていき方は工夫の余地がありそう。
最後にもう1つ転換(「もらう」→「諦める」)があったのだが、
客としてはもうこのままもらって欲しい、という気持ちになっているので
(「えぇ、諦めるの?」という雰囲気になった)
その流れのまま下げになった方が良いと思う。
「家が途絶えることがどれだけ大変か」という話も少し重いし、
2000両を持つ植木屋が「金をどれだけ引き出せるか」なんて
思わないだろう、とも感じる。
この下げはまだ手を付ける余地がありそうなので、
いろいろやってみて欲しいな、と思った。
そんなところで9時前終演。
満腹でした。
いつもどおり、18時半開演。
「初天神」(呂竹):△+
良い前座。
マクラで「出張」を振って(少し高低差が大きい)ネタに入る。
向かいのおじさん、飴、みたらしまで。
やはり、呂鶴の声の出し方に似ている。
よく声が出ており、きっちり喋っていて良い。
「壺算」(こごろう):○
マクラのスナック菓子の話は少しとりとめのない感じ。
持っていき方、順序などを整理すると、もう少しウケると思う。
最初の2人の会話はまあまあ。
「カタカタカタと寄っていく」などもなく、あっさり壺が割れる。
特にアホの実在感が出る程のものでもないが、
まあ、それでも良いと思う。
番頭との会話はいろいろ増やしていた。
勢いで持っていく感じで悪くない。
アホも分かっていない、という科白廻しで、自然で面白かった。
(分かっていないのに分かっているようなことを言うあたり)
ただ、こうするならば徳さん(だったか)が店に戻るときに、
「お前が騒ぐから怪しまれる」よりも適当な科白がありそう。
いろいろ言っていくところ、
「この壺また3円で売れるんやろ」と言うのは良いが、
「3円50銭で売って50銭儲かる、50銭あんたに返さないといけない」
まで入れると、少し錯綜しすぎるかな、と思う。
好みの問題で、入れるのもありだとは思うが。
最後少し息切れした感じ。
だが勢いが空回りせず、全体に良かった。
「くっしゃみ講釈」(文三):○
マクラ少し整理されていない感じ。
結局大阪で講釈小屋は多かったのか?少なかったのか?がよく分からない。
けっこうアホを誇張して描いているが、
前半はイマイチはまらず。
「胡椒」「八百屋」「2銭」での逆切れが1度で利かず、
続けて切れてようやく「お前が怒ってどないする」になるのは
良くないと思うが。
アホが全体に高めの声で、
覗きカラクリもあまり雰囲気が出ない。
思い出すところの科白の流れは自然で良かった。
このアホを「忘れ」をメインで作っているのだが、
それが講釈場に入るあたりから効いてきた感じ。
火鉢を借りるところ、
唐辛子をくすべる際に思い出すきっかけが必要なところなど。
出色はくっしゃみ。
講釈はいまいち緊張が足りないかな、と思ったのだが、
くっしゃみの大小の変化(エヅくのは初めて見た)、
くっしゃみの後の緊張と照れた顔など素晴らしい。
枝雀程ではないが、けっこう誇張して、
しかし自然な範囲でやっていた。
個人的にはここのくっしゃみ、
そもそもくっしゃみするとは思っていないので
1回目は特に堪えずにしてしまい、
2回目以降は耐えてくっしゃみする、という流れが良い
(盛り上げやすい)と思っているのだが、
文三は1回目からけっこう我慢していた。
くっしゃみの後、下げまでの部分は少し疲れが出た感じ。
「電話の散財」(花丸):○-
メールの話、昔の電話の話(これは必須)をマクラに振ってネタへ。
番頭が少し柔らか過ぎる感じ。
幇間ではないので、
もう少し「店を預かる」番頭の芯のようなものがあった方が良いかな。
柔らかい大旦那も、ちと柔らか過ぎるか。
まあ、出の「番頭どん」の一言が大事なので、
仕方がないと言えば仕方がないし、
充分柔らかい人だしな。
あとは、まあ、いつも通りという感じ。
(あの後川に飛び込んだ、というのは初めて聞いたが)
きっちりネタで楽しめた。
一つ気になったこと。
電話相手に聞こえないように横の人に喋るときに、
耳にあてていた部分を手で抑えていたのだが、
あれはおかしくないか?
それでは送話口は剥き出しなので相手に聞こえてしまうのでは?
(助兵衛のオーさん、とか。)
確かに送話口を抑えるのも仕草として変だとは思うので、
どうすれば良いかよく分からんのだが。
細かい話なんだけどね。
「植木屋娘」(生喬):○-
マクラは師匠の奥さんの話など。
ネタは、幸右衛門のニンがメインになると思うが、
そこは全体によく出ていて良かった。
細かい部分では、気になるところがあったのだが。
最初の方、「お寺の和尚さんが幸右衛門のおじにあたる」
みたいな地の文があったように思うのだが、
あまりその設定は耳慣れないし、別に要らないと思う。
伝吉さんは、もう少し堅い(芯がある)方が好み。
やはり「500石の家督を相続する」侍の子の雰囲気が要ると思う。
最初の方で幸右衛門が嫁さんに娘のことを言う際に、
「うちの娘、あれは美しもんじゃ」と言わなかったように思う
(お寺では言っていたが)のだが、
親バカらしい科白で入れた方が良い。
年だけでなく、美しいから「近所の連中」の心配をしているのだろう。
覗きに行くところの流れは良かった。
戻ってきた時の娘の最初の科白は、やはり「お父さん面白い顔」だと思う。
まずは焼き板にこすりつけて顔が黒くなっているのが
最初に目に付くだろう。
娘の相手が伝吉さんと分かったときの母親は、単に大声を上げるよりも、
梯子段の上にいる幸右衛門の方を向いて叫び掛ける方が好み。
(枝雀のイメージなのだが)
下げを変えていた。
「根(値)が張る」を使うのは良いと思う。
ただ、持っていき方は工夫の余地がありそう。
最後にもう1つ転換(「もらう」→「諦める」)があったのだが、
客としてはもうこのままもらって欲しい、という気持ちになっているので
(「えぇ、諦めるの?」という雰囲気になった)
その流れのまま下げになった方が良いと思う。
「家が途絶えることがどれだけ大変か」という話も少し重いし、
2000両を持つ植木屋が「金をどれだけ引き出せるか」なんて
思わないだろう、とも感じる。
この下げはまだ手を付ける余地がありそうなので、
いろいろやってみて欲しいな、と思った。
そんなところで9時前終演。
満腹でした。