先週木曜は「ラクゴリラ」の会へ。
5時過ぎに整理券を取りに行ったのだが、既に「18」。
下のジュンク堂で文楽の本を買ったりして時間つぶし。
開場時には50人くらい入り、開演時にはほぼ満員。
「遊山船」(吉の丞):△
時間を気にしていたのか、「粋言葉洒落言葉」を清八が喜六に教えていく場面なし。
喜六の造形が少し伝わりづらいと思うが、まあ短縮する方法としてはありかな。
ただそれならば、船の中に誰がいるか、清八が言っていく必要もないと思う。
テンポが悪くなる感じ。
料理を食べていくところなど、ごく普通。
稽古屋の連中は「川へ落ちても流れんように」と言っていた。
個人的には「風が吹いても流れんように」の方が好み。
「川へ落ちる」というのはあまり縁起が良くないので、
遊んでいる稽古屋の連中が言わないような気がする。
夫婦の会話、サゲなどは、まあ普通。
ギャグの少ない「遊山船」だった。
これだったら、他のネタやったらいいのに。
「道具屋」(生喬):○-
マクラはまたミュージカルに出る話と
「おくりびと」の舞台を見た、という話。
「年寄りから先逝くとは限らない」とか、少し重くなり、
「他の3人を見送るまで」でウケたが、暗い空気は払拭し切れなかった印象。
ネタは、少しアホのベースが一貫しない感じがした。
おじさん(甚兵衛さんかな)と話しているところでは
「抜けている」アホっぽいのだが、
後半は割とイチビリの度合いが強いように思った。
けっこうしっかりしているのでは?と感じるところもあったし。
もう少しベースの部分では統一感がある方が好み。
とは言え、前半のおじさんとの会話にせよ、
後半の客や隣の店の人との掛け合いにせよ、
間の取り方や強弱の付け方も良く、
きっちりとウケていた。
「手元を見ております」で一度落としたように思わせて、
さらに続ける。
「お金を持っていない」客のところに行くのだが、
その道中はそれまでよりウケをとる科白が少なく、少しダレる。
サゲは格子に首が挟まって、というもの。
挟まる部分の仕草や表情付けをやりたかったのかな。
「猿後家」(文三):△+
マクラからあまり声が出ていない。
弟子をとって少し疲れているのかな。
ネタは、まあ、無理ネタだと思う。
言い立てがやりたいのか?
最初の若い連中の掛け合いは面白い。
「川上屋の後家はん」と大声で呼んでしまう男の雰囲気とか。
しかし、後は特に良いところはなかった。
ネタがネタなので仕方ないと思うけど。
全体に声が高いのが、特に太兵衛さん(だっけ)で気になる。
言い立てはもう少し勢いで進めていく(途中に笑いとか入れない)方が
うっかり口が滑って「猿沢池」が出てくる感じになり、良いと思う。
あと、「猿沢池」を言った後、言ってしまったことに気付くのが遅い。
もう一度「猿…」と途中まで言い掛け、ここで気付いて
我を失って「さるさる…」と漏れてしまう方が流れとしては良いかな。
この日は「さるさる…」と言った時にはまだ気付いていないようだったのだが、
太兵衛は基本的に「さる」を言わないように、と注意して喋っているはずなので、
それはないのでは、と思う。
全体に、起伏に乏しかった印象。
もちろんネタが悪い、というのが一番の原因だが、
声が出ていなかったのも一つの理由だと思う。
「宗論」(花丸):△
マクラは野球観戦でオカマに茶を零してしまった話。
ネタは、サンプルがないので
東京から持ってきて自分で手をつけた、と言っていた。
しかし、上方、というか林家には、
亡き染語楼の(小佐田臭のない)素晴らしいものがあるはず。
まあ、花丸の芸風には合わないかも知れないが。
ネタは、「宗論」の話と
神社の跡継ぎや変な客寄せの話が混じった感じ。
ちょっと中途半端な印象。
倅の喋り方は不自然ではない雰囲気で、
ちょうど良い加減だと思った。
普通に「宗論」やれば良い感じになると思う。
「いくたま神社」でなく「いかたま神社」とか、
さらに押して「生国魂神社」でなく「いかかにたま神社」は
下らなくて面白いが、
「彦八まつり」に対して「エンタツアチャコ祭り」までいくと
ちょっと無茶かな。
ここで「宗論」じみた話に戻る。
雅楽の音を出すところなんか面白い。
その後、鳥居を十字架にする、なんて話になってくる。
面白いのだが、こうなると無茶と言えば無茶。
「宗論」は「宗論」でやるとして、
その要素を抜いて「神社」だけの物語にした方が
他にもギャグも入れやすいだろうし、良いと思う。
「鬼あざみ」(こごろう):△+
ほとんどマクラを振らずにネタに入る。
ネタは、まあこれも不出来なネタだと思うのだが。
何がしたいかよく分からん。
最初の清吉と母親の会話、
清吉の既に歪んでいる感じや母親が「始終言われていて手を焼いている」感じが弱い。
個人的には、そのような背景が見えた方が
後の家主さんの話などにつながって良いと思う。
酔った父親が帰ってくるところ、
服を汚している家主の子を見て独り言を言うのは南光からかな。
その後の、清吉の服が汚れているのを叱るところにつなげる、という意図だと想像するが、
別にそこまでやらんでも、と思う。
当て付けに「おかあちゃんを拝め」というところや後の夫婦喧嘩など、
父親の気性が現われていて悪くない。
もう少し「普段から喧嘩している」空気が出ると尚良いと思う。
それは、その後の家主が「今まで言おう言おうとしたが言わなかった」
蓄積があまり感じられないこととも同じかな。
息子を殺そうとするところ、
家主さんから「奉公に出しなはれ」と言われていることと
そもそも整合性が取れていない気がするのだが、
父親の描写は悪くなかった。
10年後の清吉、
堅気でない雰囲気が出ていて良かった。
全体に、特に父親は悪くなかったと思う。
ただ、そもそもネタとして、
結局何が表現したいのかよく分からないなあ。
5時過ぎに整理券を取りに行ったのだが、既に「18」。
下のジュンク堂で文楽の本を買ったりして時間つぶし。
開場時には50人くらい入り、開演時にはほぼ満員。
「遊山船」(吉の丞):△
時間を気にしていたのか、「粋言葉洒落言葉」を清八が喜六に教えていく場面なし。
喜六の造形が少し伝わりづらいと思うが、まあ短縮する方法としてはありかな。
ただそれならば、船の中に誰がいるか、清八が言っていく必要もないと思う。
テンポが悪くなる感じ。
料理を食べていくところなど、ごく普通。
稽古屋の連中は「川へ落ちても流れんように」と言っていた。
個人的には「風が吹いても流れんように」の方が好み。
「川へ落ちる」というのはあまり縁起が良くないので、
遊んでいる稽古屋の連中が言わないような気がする。
夫婦の会話、サゲなどは、まあ普通。
ギャグの少ない「遊山船」だった。
これだったら、他のネタやったらいいのに。
「道具屋」(生喬):○-
マクラはまたミュージカルに出る話と
「おくりびと」の舞台を見た、という話。
「年寄りから先逝くとは限らない」とか、少し重くなり、
「他の3人を見送るまで」でウケたが、暗い空気は払拭し切れなかった印象。
ネタは、少しアホのベースが一貫しない感じがした。
おじさん(甚兵衛さんかな)と話しているところでは
「抜けている」アホっぽいのだが、
後半は割とイチビリの度合いが強いように思った。
けっこうしっかりしているのでは?と感じるところもあったし。
もう少しベースの部分では統一感がある方が好み。
とは言え、前半のおじさんとの会話にせよ、
後半の客や隣の店の人との掛け合いにせよ、
間の取り方や強弱の付け方も良く、
きっちりとウケていた。
「手元を見ております」で一度落としたように思わせて、
さらに続ける。
「お金を持っていない」客のところに行くのだが、
その道中はそれまでよりウケをとる科白が少なく、少しダレる。
サゲは格子に首が挟まって、というもの。
挟まる部分の仕草や表情付けをやりたかったのかな。
「猿後家」(文三):△+
マクラからあまり声が出ていない。
弟子をとって少し疲れているのかな。
ネタは、まあ、無理ネタだと思う。
言い立てがやりたいのか?
最初の若い連中の掛け合いは面白い。
「川上屋の後家はん」と大声で呼んでしまう男の雰囲気とか。
しかし、後は特に良いところはなかった。
ネタがネタなので仕方ないと思うけど。
全体に声が高いのが、特に太兵衛さん(だっけ)で気になる。
言い立てはもう少し勢いで進めていく(途中に笑いとか入れない)方が
うっかり口が滑って「猿沢池」が出てくる感じになり、良いと思う。
あと、「猿沢池」を言った後、言ってしまったことに気付くのが遅い。
もう一度「猿…」と途中まで言い掛け、ここで気付いて
我を失って「さるさる…」と漏れてしまう方が流れとしては良いかな。
この日は「さるさる…」と言った時にはまだ気付いていないようだったのだが、
太兵衛は基本的に「さる」を言わないように、と注意して喋っているはずなので、
それはないのでは、と思う。
全体に、起伏に乏しかった印象。
もちろんネタが悪い、というのが一番の原因だが、
声が出ていなかったのも一つの理由だと思う。
「宗論」(花丸):△
マクラは野球観戦でオカマに茶を零してしまった話。
ネタは、サンプルがないので
東京から持ってきて自分で手をつけた、と言っていた。
しかし、上方、というか林家には、
亡き染語楼の(小佐田臭のない)素晴らしいものがあるはず。
まあ、花丸の芸風には合わないかも知れないが。
ネタは、「宗論」の話と
神社の跡継ぎや変な客寄せの話が混じった感じ。
ちょっと中途半端な印象。
倅の喋り方は不自然ではない雰囲気で、
ちょうど良い加減だと思った。
普通に「宗論」やれば良い感じになると思う。
「いくたま神社」でなく「いかたま神社」とか、
さらに押して「生国魂神社」でなく「いかかにたま神社」は
下らなくて面白いが、
「彦八まつり」に対して「エンタツアチャコ祭り」までいくと
ちょっと無茶かな。
ここで「宗論」じみた話に戻る。
雅楽の音を出すところなんか面白い。
その後、鳥居を十字架にする、なんて話になってくる。
面白いのだが、こうなると無茶と言えば無茶。
「宗論」は「宗論」でやるとして、
その要素を抜いて「神社」だけの物語にした方が
他にもギャグも入れやすいだろうし、良いと思う。
「鬼あざみ」(こごろう):△+
ほとんどマクラを振らずにネタに入る。
ネタは、まあこれも不出来なネタだと思うのだが。
何がしたいかよく分からん。
最初の清吉と母親の会話、
清吉の既に歪んでいる感じや母親が「始終言われていて手を焼いている」感じが弱い。
個人的には、そのような背景が見えた方が
後の家主さんの話などにつながって良いと思う。
酔った父親が帰ってくるところ、
服を汚している家主の子を見て独り言を言うのは南光からかな。
その後の、清吉の服が汚れているのを叱るところにつなげる、という意図だと想像するが、
別にそこまでやらんでも、と思う。
当て付けに「おかあちゃんを拝め」というところや後の夫婦喧嘩など、
父親の気性が現われていて悪くない。
もう少し「普段から喧嘩している」空気が出ると尚良いと思う。
それは、その後の家主が「今まで言おう言おうとしたが言わなかった」
蓄積があまり感じられないこととも同じかな。
息子を殺そうとするところ、
家主さんから「奉公に出しなはれ」と言われていることと
そもそも整合性が取れていない気がするのだが、
父親の描写は悪くなかった。
10年後の清吉、
堅気でない雰囲気が出ていて良かった。
全体に、特に父親は悪くなかったと思う。
ただ、そもそもネタとして、
結局何が表現したいのかよく分からないなあ。