色々な質問を受けることがある。
まずは「社会保険労務士ってどんな仕事?」と訊かれることが多いのだが
(この質問は難しい。相手によってどう答えるか、変える必要もある)
少しご存知の方だと
「社会保険労務士って、会社側の人でしょ?」
と言われることが、けっこうある。
確かに、会社と顧問契約を結び、
会社から顧問報酬を頂いて仕事をしている社会保険労務士であれば、
結局のところ「会社側」ということになるのも知れない。
しかし実際のところ、
「会社側」と云うよりは「経営者にブレーキを掛ける」方が多いような気がする。
まず社会保険労務士法では
「社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、
公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。」と規定されている。
基本的に、労働法規は「弱い」労働者の立場を守るための法律であるから、
その法令を遵守して公正に判断しようとすると、
多くの場合、「法律を無視・軽視して暴走しそうになる」経営者にブレーキを掛けることになり、
結果的に「会社側」でなく「従業員側」に立つことが多い、と思う。
根本的に言うと、「会社側」「従業員側」とデジタルに切り分けるのは意味がないだろう。
会社は従業員のために存在するし、従業員は会社のために行動する、という関係が理想。
個人的には、経営者自身が私腹を肥やすために従業員を酷使し、食い物にするというのは、
現在ではあまりリアリティがないように思う。
むしろ「会社を維持するために、仕方なく従業員を酷使している」のが現状ではないだろうか。
# 「株主に配当するため、利益を上げるために酷使している」会社はあるかも知れないが。
そう考えていって、今のところ、
社会保険労務士は「きちんと働く方のため」の存在では、と思っている。
「きちんと働く」のは何も従業員だけでなく、
特に小さな商店や企業では顕著だが、オーナーや社長などの経営者も同じ。
そういった方々を経営者と従業員で区別して全く違う基準で見るのではなく、
法律上の制度を紹介したりしてサポートしていく役割があるのでは、と思う。
ただ難しいのは、
「会社が潰れてしまっては何にもならない」というのが、どうしても前提になる点。
働く方のため、となったときに、
どうしても「働く場」は残す、と考えてしまうだろう。
そこはマクロに取り上げて済む(極端な話、その会社が潰れても構わない)マスコミと、
ミクロ・個別具体的な「その会社」と見るしかない者とは違ってくるのかも知れない。
このあたり、また業務経験を通じて色々考え、
職業観などを持っていきたいと思う。