ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

『北齋漫画』展を観る。

2023年09月10日 16時50分03秒 | 美術 アート
『北齋漫画』展を見てきた。本日がこの美術展の最終日ということもあり、多くの観覧者で賑わっていた。北齋に関するイベントはこれで今年2回目である。一つは宮本亜門演出の演劇『画狂人 北齋』。そして今回の「漫画展」である。
北齋は生涯に幾多の引っ越しをしてきた。引っ越しの回数の多さに負けず劣らずなのが彼の画業のジャンルの豊富さである。描く対象は森羅万象に渡っており、しかもその対象に対する観察には舌を巻くしかない。恐るべき観察眼である。
この美術展を観て改めて感心したことがある。まずはこれが木版で出版されていること。北齋の原画の大きさは、A4版のものとその半分くらいのものがあるが、ほとんどはA4の半分くらいの大きさである。その大きさの中に微細な線を駆使して、人物や鳥などの動物を描いている。人物が着ている着物の質感を線だけで描写する技術は西洋美術が絵の具を使って面で表現する画法とは違い、浮世絵版画が世界に誇れる技術と手法だろう。これは浮世絵師の才能もさることながら、木版を創作する職人、すなわち彫り師と刷り師の技量に負うところが大きいと感じた。こんなところにも日本の職人の手業の細やかさを感じることができる。今日は良いものを見せていただいた。しかも観覧料金は学生の前売りなので僅かに600円であった。後期高齢者が学生料金で見れるのは自分ながらもずるいと思ってしまう。



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