内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

私は〈どこ〉にいるのか

2013-07-07 19:00:00 | 雑感

 フランスで暮らしていると、日曜日、ほとんどの店は閉まっているのが普通。パリでさえ、観光客相手の店、レストラン、ごく一部のスーパー、パン屋、薬局、小さな食品店以外はみんな閉まっている。だから、それを前提として普段の買い物をする。それが当たり前だから、今となっては、特に不便だとも感じない。もちろん、フランスに来たばかりの17年前は、居を構えた地方都市ストラスブールの徹底した「閉店振り」にすぐには慣れず、とまどったのをよく覚えている。普段は人が集まる商業地区が閑散としている。そのコントラスが印象的だった。まだ知り合いもいない頃は、その日曜日の「寂しさ」が特に身に染みもした。
 ところが、日本は殆どの店が日曜日も営業している。それが普通。営業時間の長さも含めて、日本での買い物の便利さは、世界に冠たるものであることは今さら言うまでもないことだが、帰国する度に、その日本人にとっては「普通」の便利さが、何か特別なことのように思われて、日曜日なのに、それ以外の日と同様に買い物できることが不思議にさえ感じられる。もちろん、週日に比べて、人出は多いのだろう。家族連れ、カップル、友達同士なども目立つ。
 今日も猛暑。大阪ではまったくの余所者でしかない私は、キャンパスから徒歩で行けるショッピングセンターの中で、楽しそうに買い物を楽しむ人たちや、いつもの買い物を今日もまた日常の習慣として繰り返している人たちに混じって、この滞在中に必要なものを買い揃えながら、日本にいるのに、異邦にいるような、いや、それよりもさらに深い孤独感を感じてしまう。それが付き纏って離れない。私は〈どこ〉にいるのか。予定の買い物を終え、滞在者は私しかいないゲストハウスへの帰り道、心の奥底から押しとどめようもなく立ち上がってくる、声にならない呻きのように、この問いが私を繰り返し襲う。その答えを探すかのように、ふと足を止め、額に流れる汗を手の甲で拭いながら、照りつける太陽が中天を通過する青空を見上げる。