内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

ありがたき集中講義

2022-12-11 13:13:39 | 雑感

 一昨日、二〇一一年から担当している大学院博士課程前期の春期集中講義(といっても、実質は夏期休暇直前の七月末から八月最初の数日間に行うのだが)の依頼メールが東洋大学大学院教務課から届いた。二〇二〇年度はコロナ禍のためにやむなく休講にした以外は、毎年担当してきたので、来年度は一二回目ということになる。来年度も、今年度と同様、対面を原則とする。教室での通常の対面授業の場合、一日三コマ四時間半を五日間に詰めて行う。真夏の酷暑の中のかなり過酷な演習である(「ブラック」とさえ言えなくもない)。
 昨年と今年は遠隔で行った。昨年の場合、年度初めから遠隔と決まっていたので、リモートで対面と同じ条件で行うのは私にも学生たちにもちょっときついからと、予め教務課の許可を得て何コマか前倒しし、結果として九日間となった。出席者は二名、彼らとの議論にもかなりの時間を割くことができて、それはそれでよかった。この夏は、対面の予定で帰国したにもかかわらず、学生側からの希望で、遠隔となった。直前の変更だったので、昨年のようには前倒しできなかったが、それでも七日間になった。出席者は初回だけ四名、あとは三名だった。学生たちにできるだけ発言してもらうようにした。それなりにうまくいったのではないかと思うが、二年続けて学生たちとは実際に顔を合わせることもなく終わってしまったのは、やはり心残りであった。
 この集中講義が私にとってありがたいのは、テーマの選択はまったく自由にさせてもらっていることである。科目名は「現代哲学特殊演習」であるが、現代哲学の問題として私が重要だと考えていることをテーマに選べばよいので、実際には古代哲学から中世哲学を経て近現代哲学までを横断するようなテーマを選んでもかまわないし、しばしばそのようにしてきた。
 それに、これは大きな声では言えないことだが、最初の二、三年こそ十名前後出席者がいたが、以降はわずか数名、最小記録は一名という、超「少数精鋭」であり、これでお給料をいただけるのであるから、同じかもっと低い時給で何百人という学生を相手にしなければならない学部担当の非常勤の先生方には申し訳なく思う(って、なんか偽善的な匂いがしますねぇ)。
 さて、来年度は何をテーマにしようか。毎年これを考えるのがノエルの休暇中の楽しみの一つである。来月十五日のシラバス入力締切日まで、じっくりと考えて決めたい。